遠い陽光の中に消し忘れられた落書

散り、散り

足音を忍ばせてトイレに向う途中
 静かに静かに周囲を暖めるランプがポツンと

裸電球を安っぽい薄紫のガラスで包み
 どこの工場で量産されたものだろう

小水を急く気持ちを忘れて周囲を見渡すと
 淡い光中にある周囲は いかほどか優雅に佇まう

光子様は宿の選り好みもせず
 誠に儚げでも気にもしないようです

ただただ光子様は あるいは真っ直ぐに
 時には少し曲がりつつも進むばかりしか頭にないようです

大変に残念なことは どうも光子様は
 集まることを余り御存知ない様子であることです

子供の遊びには気前良くお付き合い下さるというのに
 まっこと素っ気無い風で光子様は飛び去って行かれます

そうして一人残された私の手中には
 私の手中には

そっと光子様の置手紙があるような
 そんな気持ちになるのでした

ランプの周囲の輩達も
 そんな光子様の置手紙に 至極、満足げでありました



(初出:2006年02月16日)
  1. 2006/09/28(木) 17:55:45|
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はる

すこし あたたかくなってきました
ぽかぽかの おひさまは いいきぶんです

どうろも あたたかくて きもちよさそうです
ごろんとねたら ねてしまいそうです


すこしねぼうしたので もういちどねようとしました
でも いちど めがさめると なかなかねれません

しかたないので いろいろとしました
ねむいのは かわりませんでした
すこし せなかがきもちわるくなりました

あたまやからだの けのあなから
きもちわるい なにかがはいってきたみたいなかんじがしました

そのまま そらにとんでいって くもにつつまれました
そしたら だんだんときもちよくなって

きづいたら くもがなくなって
おほしさまが わらっていました



(初出:2006年02月13日)
  1. 2006/09/27(水) 23:46:11|
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漆黒の風

今朝の風は、室内にいると、それと気付かないほど意外に強い。
唸り音をあげるほどの強さではなかったので、全くに気付かなかった。
窓外の電線の揺れが視界に入るまで。

風や空気というのは身近ながら不思議なものだ。
それらを直裁的に認めるのは難しい。
しかし「ない」とは言い難いし、あるのだろう。

彼らはいつも「そこにある」というよりも現象として自己主張するようだ。
電線や干し物を揺らし、現象を通じて、
「ホラホラ、フフフ・・・」
と不気味な意志を持って迫りくるあたりは、まるでホラア映画のようではないか?

ソレが希薄な存在であればあるほど、現象としての現れを求めるものなのかもしれない。
大抵の場合、希薄さに比例して現象に対する要求も煩いものだ。

現象がなくなれば、存在とは消えうせるものなのだろうか・・・

誰もいず、なにもない漆黒の中でも風は吹くのだろうか・・・

陽の光の中で干し物が揺らいでいる。
先程よりも微かではあるが。
干し物は、揺らいでいる。



(初出:2006年01月24日)
  1. 2006/09/26(火) 23:09:30|
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布団

どこからともなく高い音は響くも静かな夜には、
ランプに照らされたアスファルトが縮こまっている

遠近の灯りは楽しげに見えるものの
足裏から上がった冷えで腰までが鈍い

そろ悲鳴を上げた猫背を勇気を振り絞って伸ばせば
透明な空気を響かせて、星は光る

幾千光年の果ての劫火の光も凍てつくばかり
集い照らす路地も儚く闇を開き
視力を飲み込まれて眩暈するばかりとは

たどり着く階段の響きすら耳に痛く
急にシンとする人ざわめきに現実を知り
氷割りを共にした靴と足は別れを惜しみ痛む

点す蛍光管はチカチカと挨拶はするけれど
自分の役目に徹し始めると相手もしてくれぬ

主のみの孤独な部屋に暖も中々には行き届かず
見知らぬ人々の喧騒を電波越しに耳しつつ
黙然と炎を眺めるしかない

朝になればと想い、寝具をめくれば
空腹の身を燃やせと せっつく

暖かい夢は こうしてこそ生まれるのかもしれぬなどと
誰も付き合わぬ一人ごちを聞かせられた今宵は
またも勝手に更けてゆく



(初出:2005年01月02日)
  1. 2006/09/12(火) 15:47:26|
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捨貝

メダカでも飼っていようものなら、
水槽にへばり付くモヤイガイに厄介な想いをさせられる。
一体、彼らはどこから侵入するのか。
気付けば何を飼っているのか分からぬ様相。

鎧に身を固めて水面を背面遊泳しながら、
健気に口をパクパクしては餌を横取っては増える。
苔をネメ尽くしながら増える。
水底の汚物を拾っては増える。

どこぞのアニメイシヨンでは、神話化した汚物浄化者。
汚物の全てを、その身中に留めるなど出来もせず。
浄化し切ることなぞ出来もせず。

ただ一介の生物としてヌメ動くばかりの闖入者。
その繁殖力には驚くが、ゆえに厄介な闖入者。
一つまみしては捨てる毎、
神話宿る身は奇妙な感触を残して萎みゆく。



(初出:2004年12月27日)

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  1. 2006/09/11(月) 20:22:19|
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15:00のラーメン

何故か縁のある場所。
気付くと、何故かソコにいる場所。
私にとって、秋葉原はそんな場所。
[15:00のラーメン]の続きを読む

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  1. 2006/09/04(月) 22:44:38|
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静かで優しき宇宙

男は、夕暮れを背に、いつものホームで待っていた。
 ガタン カタン ゴトン コトン

電車に乗るや、いつものように腕組みをし、
身の安定を確保、早速に眠ろうかとして気付いた。
目を瞑る前と瞑った後の違和感?


薄目を開けてソッと見やると、
そこには、いつものように煩げな女子高生。
違和感の正体に気付いて フと何気ない視線を作る。

宙を、軽やかに舞う。
弾けるように舞う。

ツイと携帯電話を取り出し。
二人で覗き込みながら操作する画面は、
残念ながら男の視野憶測の外。

言葉なく、手が舞う。
言葉を失して、手が舞う。

それが当たり前だったかのように。
いや。
それが当たり前のことなのだろう。

黙然とした空間に、その人はいた。
まるで、宇宙に飛び出して舞うように。

(初出:2004年12月16日)

テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

  1. 2006/09/01(金) 09:58:36|
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ファサリとブローカー

電話の向こうから聴こえてくるものはいつもと同じ。
「○○××○○××」
あぁ、今回はFAXだ、今回はメールだ。

出来れば手間の掛からないメールでお願いします。
受発注の確認も容易でしょう。

さてと、黙ってパソコンに向き直って発注だ。
 カシャカシャ ポン
それでファサリと、なんとか食い扶持が落ちてくる。

商品は私の知らないところで作られ、
私の知らないうちに野を越え山を越え。

ブローカーなんぞ、やるもんではないな、と苦笑しているのはなんだろう。
と、問い掛けてもブローカー以外に「これぞ」というものがあるわけでなし。

いや、探してないだけか。
やりたくないだけか。

 カシャカシャ ポン
 ファサリ・・・

今日の食い扶持は出来たようだね
仕事って一体なんなんだ?



(初出:2004年12月15日)

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  1. 2006/08/28(月) 10:25:35|
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ドライ・フラワー

寒気に耐え切れず、空調の鈍い音を忍んでいる。
乾いた空気が喉から水分を吸い取り、吐き出し口を求めて部屋を漂う。

不自然な風は部屋を駆け巡り、力無きものを揺らめかせ。
いやらしく己が姿を見せずに、揺らめきで自己を顕示する。

括るリボンが風に嬲られている。
ドライ・フラワーは、ただ無機質に風に応えている。

水を必要としなくなった花。
咲いたままの姿を晒す花。

ボヤッと握ることを思えば「クシャリ」と、
あの得たいの知れぬ感触が手に蘇る。

死んだ花。
もう、生きてはいない花。

(初出:2004年12月13日)

テーマ:メモ。 - ジャンル:小説・文学

  1. 2006/08/27(日) 10:14:10|
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冬の二度寝

ムゥ〜ンと目が覚めかけたが
今日は日曜日では なかったか?

薄ら目に見慣れて いるはずの顔
隣の布団から 娘は遠征してきたらしい

腕中の微かな寝息が 物語り始め
少し涎が気になりながら・・・

(初出:2004年12月04日)

テーマ:詩・想 - ジャンル:小説・文学

  1. 2006/08/25(金) 10:11:07|
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想一葉、兼訪問帳

だから眠ろう、もう少ししたら
明日の計画を書き込んだノートを手に
今日見た、聞いた、触れた
そんな全てが、いつだって重過ぎるから
持ち切れない全てを眠ろう

by 「無意味という意味」 ちょ:まっく

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  ので、リンクはお気分次第にて(^^;
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拙語に託さざらむ恥想ひ、在りて候…

Author:まっく
想:遠い陽光の中に消し忘れられた落書


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