君の名は

見知った顔を見出せない雑踏を見下ろし、
その駅の階段もまた人に溢れている
階段を上る人、下りる人、立ち止まる人
人、人、人・・・

その中をゆっくりと静かに歩くと、
何人もの人の肩や肘や手や、
背中やお尻や腿や膝や足や、
何人もの体が私を通り過ぎて
ぬるい衝撃を残して去っていく

もう下り切った階段を見上げて、
すり抜けることの出来ない私も
やはり、そうして誰かを通り過ぎて
ぬるい衝撃を残しているのだと想い

きっと私達は名を知らないままでいいんだと想う
名を知らぬまま、ようやくに駅を出ることが出来、
それでも寂しいので振り返ると、
そこはもう、人ごみの過ぎた名を知らぬ寂れた駅だけが
頼りなく点滅する灯火の中で消えたり現れたりしながら
さようなら
と、囁きかけてきて

何か愉快な気分で向こうの星空に向かって歩き出したのだった
2006-08-31 19:49 : 落陽 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

アブサロム、アブサロム!(1/4位?):備忘録

「アブサロム、アブサロム!」(フォークナー、高橋正雄訳、講談社文芸文庫)

クェンティ(コンプソン)を中心的な「聞き手」として物語が進む。
まだ初期の南部の田舎町(村)ジェファソンに現れた事業家(と、言うのが適切だと想う)・サトペンと、既にジェファソンに居場所を築いた小さな商店主・(グッドヒュー・)コールドフィールド。

サトペンはジェファソンの人々には理解出来ない粗野とも言える野心(?)と、それを制御する精神の持主で、自らの事業の糧として、ジェファソンの人々の信頼を得ているコールドフィールドの娘・エレンと結婚し、一家を成す。サトペンを中心に語られる物語の血縁関係は複雑さを増して行くが・・
やがてエレンは死ぬが、彼女と入れ替わるようにサトペンに嫁いだローザは、サトペン家の興亡を受止めて生き残っている。

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2006-08-31 19:08 : 実験中&備忘録 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

一番星

青空の中で逆立ちしたビルから
百両編成の無人列車が過ぎるのを
もし見ることが出来たなら
君の顔を嫌悪に満たすことが出来るだろうか

天上まで育った積乱雲の上に
ゆっくりと飛ぶパイロットの視線が延び
夕焼けの中に一番星を見つけるのだ

その時にきっと地は裂けて
あの稲妻のように火炎が立ち上がる
消えたはずの記憶が蘇り
全ての人は立ちつくす

小型犬にまたがり乗った私は
全ての人の真ん中で君の全てを失って
きっと胸を張るだろう
涙を流さずに済むように
私の全てを失えるように

ああ、そうだ
私は言ったままの口をつぐむ
記憶の中の君は顔を失って
白い帽子だけが光っている
2006-08-31 10:32 : 消去一葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

青空を飛ぶ氷

あの時、酷寒に吐き出された君の言葉は
スター・ダストのようにきらめいて、
私の耳は寒さでもげそうだ
温度を奪われて張りついた君の唇、私の唇

たった一つの小さな星光を頼りに探り合う私達は
奪われ続けた体温もないままに
巡り会う機会を、それでも失ってはいない

急峻で凍った川を滑り下るいかだと
陽の光を一杯に染み込ませた空と
少しの雨があれば

それを蛮勇と君は笑うだろうか?
山頂で凍るまぶたが開いたままになっているのに
何も見えない私の目を、君は笑うだろうか?

次の春が訪れる前に、私達が溶けてしまう前に
熱い心を持つことを制御して
冷たい心で君は待っている
耐え切れずに少し小さくなってしまった私

君の前を黙って通り過ぎ
あの星の元へ飛んで行き混じろうか?
君が迷わないように
2006-08-31 10:22 : 落陽 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

戻り来る夕陽の中で

斜陽で作られた階段の上のボール
遠い距離の中の自転車は土手に定置され
重力の見放した白紙の手紙に書かれた無数の言葉

視線は常に動きを奪われたまま
心は言葉に縛られたまま
私の足は白紙の手紙を踏み潰す

遠い過去と遠い未来
わずかな狭間に佇む私に
残されたインク涸れした一本のペン

煮えた太古の海に落ちた一滴のインク
星の欠片だけになった宇宙に落ちた一滴のインク
フィルムに映る恋人がキスを交わし、
永遠を誓う止まった時間

全てのインクを使い果たした
「愛している」とだけ書かれた紙片が
決して届かない君の眼になったまま
インクが空ろににじむ

風に拾われたボールが階段を滑り落ち
持主に見出された自転車は止め具を撥ねる

インクを吸わないペンを握ったまま
くゆらす煙を追いかけて
もう一度だけ戻った夕陽の中で
白紙の手紙を握り締めていた
2006-08-31 00:36 : 消去一葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

川添い(改行版)

傍らの草むらを川面を眺めながら尻で押しやると
押しつぶされた草が少し向こうの陽に焼けた石を指した
一つの石を手に取り、その熱さが周囲の空気を歪ませて
ゆっくりと空中に放出されるのを感じながら
温もりがなくなる前に頬にあててみる

水の音に混じる木々や山や色々な声をかき分けて
ほほを通り抜けた石の囁きは、しかし小さ過ぎ、
仰向けに寝そべると風のない退屈そうな青空の下で
なおも石は囁き続ける

疲れた手があきらめて石を放ると
石が川に沈む音が足元から立ち上ってきて
脳裏に滑らかな川面に広がる一時の波を浮かべて消えた
十分に水を吸わずコケの一片もない石が水音に囲まれて消された囁きを
一人呟き続けているのを眺めながら、
さっきよりも大きくなった雲は話し合うことを止めずに散り始める

川沿いに下ってきた霧が周囲に立ちこめた中で
沈んだ太陽を追ってほほに触れると、
ほんのりとした温かさが心を少しだけ温かく迎えてくれた
そのまま心は川中に沈み込んで新米の石と一緒に静かに水音に包まれた

山霧に濡れそぼる石の一つになっていた
2006-08-30 12:25 : 落陽 : コメント : 6 : トラックバック : 0 :

川添い

傍らの草むらを川面を眺めながら尻で押しやると、押しつぶされた草が少し向こうの陽に焼けた石を指した。一つの石を手に取り、その熱さが周囲の空気を歪ませてゆっくりと空中に放出されるのを感じながら温もりがなくなる前に頬にあててみる。水の音に混じる木々や山や色々な声をかき分けてほほを通り抜けた石の囁きは、しかし小さ過ぎ、仰向けに寝そべると風のない退屈そうな青空の下で、なおも石は囁き続ける。疲れた手があきらめて石を放ると石が川に沈む音が足元から立ち上ってきて脳裏に滑らかな川面に広がる一時の波を浮かべて消えた。十分に水を吸わずコケの一片もない石が水音に囲まれて消された囁きを一人呟き続けているのを眺めながら、さっきよりも大きくなった雲は話し合うことを止めずに散り始める。川沿いに下ってきた霧が周囲に立ちこめた中で沈んだ太陽を追ってほほに触れると、ほんのりとした温かさが心を少しだけ温かく迎えてくれた。そのまま心は川中に沈み込んで新米の石と一緒に静かに水音に包まれた。
山霧に濡れそぼる石の一つになっていた。
2006-08-30 11:57 : 落陽 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

八月の光:備忘録

「八月の光」(フォークナー、加島祥造訳、新潮文庫)

クリスマスの過去が現在に重なり・・・と想ったらバーデンとの関係が「三段階」に分けられて(物)語られ、その中に
「現在」は、さらにクリスマスの祖父母・ハインズ夫妻の登場と過去の物語を挟んで、クリスマスの捕縛・逃亡劇に連なり、牧師・ハイタワーの回想する過去を過ぎ、珍妙な道中カップルとなったリーナとブラウンの話で締め括られる。
これらは例により冗長さは全くなく、いや不可欠でありながら、むしろ簡潔であるとさえ言えよう。
驚愕的ですら、ある。

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2006-08-30 10:33 : 実験中&備忘録 : コメント : 2 : トラックバック : 0 :

リゾート天国

南国の陽中の広いテラスは白く塗り重ねられている
遠い眼下の庭先には鮮やかな花が咲き誇り
ヤシの木々は緩やかな風になびいていた

陽の下に出ようと縁に手をかけると想わぬ腐臭が鼻をついた
昨日の夕涼みに歩いた排水路の臭いだ
淫靡に隠れた排水路は、晴やかなリゾート地に相応しい
日頃を忘れたい欲望や鬱屈から出る屑らが、
ただ青く美しいことを美徳とする海に向かい
幾筋もの、そして集って一筋の流れをなしている

ホテルのマスターが一言、教えてくれた
「そのリゾート地に来ている異国の娼婦には近付かないほうが良い」
なるほど飾り窓に溢れる美女達は夜闇の光に艶然と悩ましいが、
その影には無数の骸が重なっている

酒の勢いに任せた一団が無臭の死臭を掻き泳ぎながら、
ネオンに雪崩うって入り込んでいく
その様を見やりながら私は何を考えていたのだろう
そこにある死、やがて何も知らぬ家族に持ち込まれる死、私の国に持ち込まれる死
死病は密かに蔓延して私を包囲していくのだろうか

陽の下で謳歌する若さも、囁かれる愛の言葉も・・・
ここでは全てが死病の影を背にしている
生きるもの全てを気付かずとも共させようとする、あの死病の特質は
南国の陽に焼かれて一層に強くなるのだろうか?

そういえば・・・
遠い北国でも死病は広がっていると聞く
実際、生あるものを見さえすれば、死病はどこにでも入り込むのだ
払う手にすら移り住むとさえ言えるのかもしれない
払わざる手にすら移り住むのだから

鼻をつく腐臭が周囲に立ち込めたころ
スコールの知らせが陽を翳らせ
少しだけ、息が出来たような、そんな気がした
腐臭に慣れ切ったマスターが私を気遣うような複雑な笑みを浮かべ
フロントの奥に急ぎ足で消えていった
2006-08-29 15:20 : 落陽 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

詩の典拠~牙城

Mさんの「詩入門 #2」を読んで想うあれこれ。

(以下、引用)
>このときの「余白」は詩を生成するためではない。ただ自分が書くものの読まれにくさに耐えられないという倫理の表出ではないのかと思う。理解されたい、同調してほしい、読んでほしいという孤独からの安易な逃走のために、余白の挿入を強いられている。

>それゆえ、改行をいかにしないか、それが現在の詩的倫理と呼べるものではないだろうか。改行をけっしてしない、それに耐えることが、現在の「詩的孤独」を成り立たせるゆいいつの倫理ではないだろうか。

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2006-08-29 12:26 : 消去一葉 : コメント : 2 : トラックバック : 0 :

夕暮れの畑

つぎの春にむけて、まだ耕されていない畑はとおくに土ぼこりを立てて
とおくの中に男がひとり、立って、いる
立ち止まっているのか、歩いているのか、走っているのか
とおくの男は縦に長いだけで、きっと男でもなく
てっぺんの麦わら帽子が金色に光って、泣いている
白い雲が一切れだけ、空に貼り付いて横切っている下で
麦わら帽子が泣いている
金色の光が空にのびながら、泣いている
麦わら帽子の下に風がなびき
私の涙は曲がってこぼれた
つぎの春にむけて、まだ耕されていない畑にこぼれた
二つきりの麦わら帽子は、まだ耕されていない畑に貼り付いて
まだ、なんにもない畑に貼り付いて
傾いた陽を受けても畑に貼り付いて
夕暮れが静かに、静かに畑の上に広がって貼り付いた
2006-08-29 11:33 : 落陽 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

美術館にて

照らすものを失った無数のローソクの炎が
黒闇の中に、それでも尚、不明瞭な輪郭を漂わせ
(どうしてローソクだと分かるのだ?)
全ての光を飲み込んで闇は生まれ、
微かな光さえ闇を膨張させるだけで
暗窟の中で眼を失い
闇は音を奪ってはいないが
ローソクの芯が焼ける音は産毛をすり抜けて
全身の感覚が全身に集中して、ようやく
自分のものでない微かな自分の重みを取り戻し
任せることによってのみ得られる重みが
任せるがゆえに動けない私を縛り
縛られた私達はぶつからないままに呼び合い叫び合いして
後ろ向きでいることすら気付かないままに
紙に貼り付けられた炎は揺れもせず照らしもせず
それでも炎と私達は信じて
ローソクを書き足す
深夜の絵画は黒絵具だけが盛り上がり
闇を育てようと
色に関わらぬ絵具全てが
闇を育てられると盛り上がり
無残な陽の下の姿を想い想いに描き
書き足すローソクは
いつまでも足ることがない
2006-08-29 02:13 : 落陽 : コメント : 2 : トラックバック : 0 :

八月の光(1/2位?):備忘録

「八月の光」(フォークナー、加島祥造訳、新潮文庫)

クリスマスの過去が、現在の話に重なるところまで。
回想ではないけれど実にP200・・・全文の1/3相当位ある。
が、全くに退屈させないどころか、読み始めると中座出来ない筆致。
しかも、これが訳文なのだから呆れてしまう。

加島訳は、恐らくは丁寧に訳すことを第一義に、出来るだけ意訳を避けているのではないだろうか?
ところどころ「?」というところもあるが、英語に置き直して読むと、加島流の誠実さを感じる。

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2006-08-29 01:54 : 実験中&備忘録 : コメント : 2 : トラックバック : 0 :

上戸彩は美人か?

1、2ヶ月毎に行く焼肉屋に、時折、アルバイトらしき女性が登場する。
多分、今日は3度目くらいではないかと想うのだけれど、似てる。
あの「あずみ」に出てる上戸彩に、特に横顔がソックリなのだ。
まあ、多少、暗めの店内においては、大抵の女性は美しく・・・(違)

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2006-08-28 20:50 : 消去一葉 : コメント : 0 :

檸檬水の時

搾りたての檸檬を一滴、純水に落とす
檸檬果汁は檸檬果汁そのものではなくなり、純水は純水そのものでなくなる
檸檬水は、きっとそうやって作ることが出来る
檸檬果汁だけでは口に酸い過ぎ、純粋だけでは味気ない
檸檬水だから口に馴染んで清涼に喉を過ぎていく
水は記憶を持ってはいないが過去を抱えて訪れる
遠い昔は、いつまでも遠い昔には誰知らぬ岩中をほんの少しづつ
動いてさえいない速さで過去を抱え
やがては集って仲間と記憶を共にし
それら一切の記憶を消し去るように純水に仕立て上げられるが
しかし無限少の1がある限り、水は過去を失ってはいない
一つ一つと過去を剥ぎ取られ残る過去がたった一つしかなくなったとしても
その最後の一つを剥ぎ取ったとしても水の過去は失われない
遠くの鐘の音が耳を跨ぎ過ぎても鐘の音は生き続ける
遠くの星が壊れ際に放った最後の光は生き続ける
未来のない今に過去を背負って生き続ける
未来は明日ではなく、永遠の今で、過去で
過去は昨日ではなく、永遠の今で、未来で
今、と想った時には今も消え時間軸も消え
私は重さを無限に剥ぎ取られて私に戻っていく
きっと戻りたくはない私に戻っていく
剥ぎ取られた過去と永遠に来ない未来と失われた今を抱えて
戻りたくないことすら忘れているのだ
行きたくないことすら忘れているのだ
無力な神として生きるための儀式が誰も何も避けることが出来ない仕組みとして
新たな過去を、未来を、今を
与えるということは残酷な仕打ちなのだろうか
無限少に散りながら
私を失い
2006-08-28 11:48 : 落陽 : コメント : 6 : トラックバック : 0 :

ファサリとブローカー

電話の向こうから聴こえてくるものはいつもと同じ。
「○○××○○××」
あぁ、今回はFAXだ、今回はメールだ。

出来れば手間の掛からないメールでお願いします。
受発注の確認も容易でしょう。

さてと、黙ってパソコンに向き直って発注だ。
 カシャカシャ ポン
それでファサリと、なんとか食い扶持が落ちてくる。

商品は私の知らないところで作られ、
私の知らないうちに野を越え山を越え。

ブローカーなんぞ、やるもんではないな、と苦笑しているのはなんだろう。
と、問い掛けてもブローカー以外に「これぞ」というものがあるわけでなし。

いや、探してないだけか。
やりたくないだけか。

 カシャカシャ ポン
 ファサリ・・・

今日の食い扶持は出来たようだね
仕事って一体なんなんだ?



(初出:2004年12月15日)
2006-08-28 10:25 : 落陽 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

昨日も今日も明日も

何とてするわけでなく日がな過ごし。
見たとも聞いたとも、なんとでもなく。

それでも「私」は喰らっている。
それでも「私」はウンチを捻っている。

どうも「私」は存在してるだけで喰らうものらしい。
喰らって喰らって、飽き飽きとしているのに。
それでも喰っているとは、まっこと不思議だ。

きっと私しか存在しなくなっても、蛸が足を喰らうのと同じ。
自分を喰らっているのだろう。

食欲など皆無でも、喰らわずにいられない。
それが私。

せっかくなら上手く喰らいたいものだが、生憎そんな器用さは今のところない。
というよりも、上手い喰らい方が想像出来ないのだ。

もっとも上手く喰ったとて、捻り出るものはアイも変わらず。

いやぁ実際、見られたいような、見て欲しくないような。
なんとも複雑な気持ちで、尻を出してるわけですよ。



(初出:2004年12月15日)
2006-08-28 10:24 : 消去一葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

脱糞と浣腸と

表現対象と表現者と表現結果と鑑賞者。
表現結果は常に表現者と鑑賞者の間で揺れている。
語り尽くされた「メタ」。

何のために書くのだろう?
書かねば出処を失うもの。
出処を失ったとはいえ、何故にそれほどに苦しめる?

と、ポツポツと「形」にされるお前達は、まさしく糞でしかない。
書くと言えば格好が良い脱糞行為。

脱糞の強迫観念からか何故か、浣腸までして糞をする輩も。
そんなにまでして脱糞から逃れられないのは何故だ?
糞は糞。

喰ったはいいが、どうせ消化し切れていない糞。
喰わなければ糞しない苦しみから逃れられるのか?
消化し切れる手立てが何かあるのか?

醜く肥えた下っ腹から、今日も糞が出る。
屁も、出る。
嬉々として、出る。



(初出:2004年12月14日)
2006-08-28 10:22 : 消去一葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

立ち続ける意味

私達、それぞれの前に伸び行くたった一本の道
そこにあるのは幸福だろうか、絶望だろうか
無限の行先を目指すように見える平原の真中で私達は
それでも本当に無限の道を手にしているのだろうか

乗り慣れない竹馬の上で私は動かずには立っていられず
ほんの僅かな一歩を踏み出した途端に始点から永遠に切り離され
歩みの軌跡とは別に単純なバランス運動を続けている
時に、そっと集う竹馬の友らは寄り添いバランスを取って動きを奪われ
バランスした安定に足元は湿地のように沈み
初めて草原に見えたココが足跡を残すことを許すだけの湿地だと知り
さらにさらに安定を得て放棄された動きは二度と取り戻せない
軽さが意味を持たない湿地の上で転がることは許されているのに
私達は永遠に気付けず、時に竹馬の足を絡め合いながら、
少しづつ、少しづつ遠く離れていき
そこで新たな人達と再び始点らしきものを見て
すぐに消える始点だけが確かな軌跡のように

伸びる竹馬の上で互いの顔を見遣る余裕を持てないまま
湿地に横たわる青白くて動かない瞳に、視線は向く
2006-08-27 22:23 : 消去一葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

「現代詩大系」を購入して

「現代詩大系(思潮社)」を古本屋で発見、購入した。
残念ながら全七巻のうち、七巻目が欠けているけど、それは諦めよう。
昔・・・高校生の頃、1980年代前後だろうか?A5サイズ位の現代詩(人?)シリーズみたいなのが出ていた。
吉本隆明の名前もあった。装丁も好きで何冊か購入した記憶がある。
中身は・・・聞かないでくで・・・忘却の彼方である(涙)。

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2006-08-27 11:38 : 消去一葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

海底20000メトル

赤道直下に風は吹く。
柔らかい風が吹く。

水平線はユラユラ漂う。
漂いながら近寄ってくる。
静かに、静かに。

静かな力を身に受けて、
水平線は 漂いながら近寄ってくる。

振り返れば ボクの足元には
直滑降が出来そうな渦巻きだ。

グルグル、グルグル
あまり見てると目が回る。

青といえるのか水平線は。
空にチとでも上る気配すらなく、
水平線は深く、深く潜行している。

赤道から跳ね飛ばされないように、
しっかと掴まってるのも大変なもんだ。
赤道の下には何があるのだろう。

もう目を回すのはゴメンなのだが、
水平線は漂うことを止めようとしない。

(初出:2004年12月14日)
2006-08-27 10:16 : 落陽 : コメント : 2 : トラックバック : 0 :

カラノ手

ふわりふわりが漂っているのに。
ぽわんぽわんが漂っているのに。

君の頬は、少し赤いね。
君の唇は、青ざめてるね。

木枯らしが吹いている。
心細らせて吹いている。

君の手が、今、欲しい。
君の手が、今、愛しい。

(初出:2004年12月14日)
2006-08-27 10:15 : 落陽 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

ドライ・フラワー

寒気に耐え切れず、空調の鈍い音を忍んでいる。
乾いた空気が喉から水分を吸い取り、吐き出し口を求めて部屋を漂う。

不自然な風は部屋を駆け巡り、力無きものを揺らめかせ。
いやらしく己が姿を見せずに、揺らめきで自己を顕示する。

括るリボンが風に嬲られている。
ドライ・フラワーは、ただ無機質に風に応えている。

水を必要としなくなった花。
咲いたままの姿を晒す花。

ボヤッと握ることを思えば「クシャリ」と、
あの得たいの知れぬ感触が手に蘇る。

死んだ花。
もう、生きてはいない花。

(初出:2004年12月13日)
2006-08-27 10:14 : 落陽 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

<神>話の嘲笑

隣りに並ぶ私と君とたくさんの彼らと
遠近法で描かれた平面は遠近おちこちの私と君を切り離す力を持つのだろうか
三次元に展開された私が眺める君の笑顔は霞んで視界の果てに消えるのだろうか
時間を操る四次元の中でなら、私達は重なり合うことが出来るのだろうか
それとも、やはり御互いを見つけることが出来ないままに彷徨うだけなのか

ある時は山向こうに、その時は海向こうに、
常に私達の間には隔たりがあることを信じさせない
<神>話の中で結ばれた絆は、どれほどの強さを保つのだろうか
私達の<神>話は常に+1の次元から私達の隔たりを嘲笑する
<愛>は常に<神>によって嘲笑のために試され
私と君を繋ぐ線は不可視に経巡らされている
線上の涙も笑い声も行き場を失い、戻る場所を失い
ただ+1を常に上昇して永遠に戻ることはない

けれど、それらが戻ることを君は望むかい?
確かに私と君は繋がっている線によって切り離されている
切り離された線によって繋がれている

私が君と話したいのは、きっと、そんなことじゃない
常に+1にある私が、それでも私でありたいこと
君と繋いだ手の温もりを忘れずにいたいこと
それらが全て<神>話によって私から奪われること

いや、そうじゃない
どうやって<神>に復讐するか
君に相談したいだけなんだ

いやいや、そうじゃない
絶望的な永遠の+1の中に隠された永遠の交錯の喜びの快哉・・・



Thanks For 「海のようになにもない」
2006-08-26 18:29 : 消去一葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

八月の光(1/5位?):備忘録

「八月の光」(フォークナー、加島祥造訳、新潮文庫)

ルーカス・バーチ(ジョー・ブラウン)を追う妊婦リーナ。
奇縁からリーナに近しくなる製材工場労務者ブラウン・バンチ、
ブラウンに近しいジェファスンに異様な執着を見せる(元)牧師・ゲイル・ハイタワー。
ブラウンが戻り家を共にするジョー・クリスマス、所有者・ジョアナ・バーデン。
主要人物は、ほぼ出たところであろうか?

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2006-08-26 11:17 : 実験中&備忘録 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

忘れえぬこと

忘れえぬことって、一杯ありますよね。
思い出すだけで嬉しくなったり、切なくなったり、悲しくなったり。
時に悔しくてたまらなかったり。

私は、夜って好きなんです。
それもボケーと夜空を眺めたり、夜の町並みを眺めたり。

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2006-08-26 09:49 : 消去一葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

晴れた日には

晴れた日には、
特に夏の盛りを過ぎた秋の晴れた日には、
静かな森の水辺が美しい。

まだ日の光は強過ぎるから、丁度、木漏れ日が。
木漏れ日の具合が、丁度良いのだ。

もう冬もすぐ近くだ。
寒さに弱い私だ。
火燵の中で夢でも見よう。

冬の次には春が来る。
氷河期には、まだ早かろうから。

寒さに凍えるには、もう少し日の光が必要だ。

(初出:2004年12月07日)
2006-08-26 09:48 : 落陽 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

過去化粧

ふと振り返ると 過去は恥らう乙女の如く
淡い化粧を施して 夢泡沫に思い出され
さて、とよく見るだに うつむきつつ白粉濃く
さてさて、と見るだに 一色に

微かに覚えていたはずの ほくろさえ見当たらぬ
はて、と見るだに見当たらぬ
ニコリとする あなたに見覚えなく
なぜか好きだった あの、あばた痕が
あなたは嫌いだった あの、あばた痕も見当たらぬ

わたしは、あなたが嫌っていた あばたの残るその顔が
とてもイトシクテ好きだったのに
今、一色のあなたは ますますに一色に
一色になっては あなたとも思えぬ

夕日に焼けて 影となれば
やはり あなたはあなただが
あのイトシイあばたは どうしたのですか

(初出:2004年12月07日)
2006-08-26 09:46 : 落陽 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

抱擁

無力を知る。
邪まであることを知る。
美しきことを知る。
忌むべきことを知る。
愛しいことを知る。
大きな力を知る。

学びたくとも学べないモノがある。
得たくても得られないモノがある。
乗り越えたくても乗り越えられないモノがある。
だからこそ知るべきコトがある。

人の努力など、高が知れている。
人が出来ることなど、何ほどもない。
だからこそ、人は産まれ来た。
故なき故、ただただ求めて。

抱きしあなたは何を見ているのだろう。
それほどに抱きしめられては、時に苦しい。

(初出:2004年12月07日)
2006-08-26 09:45 : 落陽 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

存在のスピード

目に映る景色は、常に幻影を引き摺り
私は掴めない幻影に縋って生きている
足場は不動であることを許さず
バランスをとって崩れ落ちぬよう
そっと、そっと気をつけているのだけれど
深い谷に落ちた人を責める時間はない
いや、私が落ちていないと誰に分かる?
常に霞んで通り過ぎる目端には
そこに何があるのかさえ分からぬまま
ただ横に流れるのが早いだけで
私は落ちていない気持ちを保ち
それすら鈍麻した私の重みが
支えているだけかもしれず
視線を落とすことが怖いまま
何があるかも分からぬままに疾駆する
光速で疾駆する全ては遂に交わらないままに
見る人のない光跡だけが闇を照らし続けるのだ
2006-08-25 10:43 : 消去一葉 : コメント : 4 : トラックバック : 0 :
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拝啓




Author mak From "空白"

想一葉、兼訪問帳

星々の冷却(書肆侃侃房)
渓谷0年(オンライン版)
Both by mさん

【 無意味という意味 】
すこしの風を追いかけて
【 短文 】
大海にも降る一滴
2015.07.17.

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