だから、哀しいと言って

その時以来、しずしずと雪は降り積もり千年
貴方は氷と化した中に、あの時の微笑を湛えたまま、美しいままで
さらに万年を越えて唯一人、厚くなるだけの氷の中で
美しい乳輪と乳首、ふくよかな乳房から艶っぽいうなじを小傾げ
若さ故にすらりと伸びた足、弾力を湛えた臀部
何人もの、何十人もの、何千人もの男性が言い寄った貴方はそのままで
その時から一人、一人と去っていき、誰もが近寄れない地上に一人
貴方は積もる雪を裸身にまとい続け、ついには輝く髪も覆われ
その伝説の上に私は立つことは出来るのだけれど
私の周囲にも誰もいない今、何千メートルの下にいるのか、貴方と二人
支える伝説さえ飲んだくれに聞いただけの話ではあるが
私はここに来た
心清らかならば、その心音を聞くべし
飲んだくれは急に真顔で言って大笑いしたが、私の聞きたいのは
今も降り続いているのです、雪は
深々と降り続けながら氷と化し続けているのです
私は、その中に立っています
一人ぽっちで立っています
だから聞きたいのです、貴方の一言だけを
私の、いや、きっと全ての人が言えないままの一言を
皆が虚仮笑い、酒を飲み、淫事に耽り、止め処なく涙を流し続けるから
ある人は考えることで、考え続けることで次の間が開けると言った
ある人は動くことで、動き続けることで次の間が開けると言った
ある人は、ある人は、ある人は
誰もが降り積もる雪の厚さに敵うことなど出来はしないと本当は想っている
全て氷の中に閉じ込められるか、雪を避けて
そう、小さな小屋を作り、たまには酒場に行き
こうして来るまでにすら伏せたまま凍る何人の人を見掛けただろう
彼らとて貴方の場所に来ようと想ったわけではありません
ただ、雪中を歩かずにはおられなかっただけです
私とて貴方の場所にいるのかすら分かりはしません
ただただ、頭上には雪が降り積もり、そろそろ膝まで雪が積もりしているだけで
辛くはないのです
楽しくないこともないのです
愛している人がいないことも、憎んでいる人がいないこともないのです
ただただ、雪原の、それ以外、何もない雪原のここに辿り立ち
意識がはっきりとし過ぎているので
2008-07-18 01:18 : 落陽 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

そして君は問う

だからと言って意味がないと言ってしまった良いものかどうか
高い煙突から湧き出る薄い煙が微風にたなびいては消えていく
雨にうたれた日には煙は見えるか、見えないか
遠くに見える気がするだけで煙などないのかもしれない
晴れて青空が広がった日には白線を
末端のない、その白線を追って、ただ追って
君と私とは常に、その白線によって繋がれ絶たれ
だからと言って存在など意味がないと言ってしまって良いものかどうか
2008-07-13 23:57 : 落陽 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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