望景(初出:2012年04月29日)

言葉にならない言葉は降り積もり
遠く遥かな頂が山鳴りに想いを託して
沈む陽の彼方に光る星を夢見たが
風の気配が通り過ぎ樹氷が散るだけだった

朝を追う円い月は中空に貼り付き
沈黙に集う猫達の瞳に映る

街灯の間を抜け行く靴音は遠くから返り
開く事のない窓硝子の煌きを想い出すが
戻る宛てとてなく、どこまでも続く沈黙を過り
夢と夢、さらに夢と渡り歩く

朝の記憶は夜には蘇らず
消えた火は微かな暖かさだけを残し
凍り付いてゆく部屋を漂うが
私の心は暗闇を求め、沈み往き
戻る事のない空虚な愛を目指す

優しい冬の匂いが、いくつもの屋根を渡り
過ぎてしまった春を季節の遠くに追うが
打ち寄せる波は音を手放して砂に消え
底のないグラスに涙が満ちるのを待っていた
2012-04-29 11:36 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

二人の時間(初出:2012年04月28日)

もう指先が触れられる程の遥か遠くで
貴方の髪は星になびき月に揺らぎ
その涙を乗せた睡蓮は
深い眠りに光の記憶を渡すでしょう

その閉じた瞼の先に延びる睫毛に
そっと降り続ける温かな雪は暗闇を摺り抜け
私の想いと共に解けては消え、更に降り
深海の底に沈めたはずの夢の箱を開いて
世界中の空を駆けて大地を覆い尽くすでしょう

神話に封じられた哀しみと優しさの記憶が
振向くとて人もいない街を、ゆっくりと歩み
貴方と私の間をも通り抜けたから
私達の過ちもブランコに乗って揺れていただけで
春を過ぎても散らない桜の花びらのように
星達は囁きを止めることはないでしょう

貴方が、そんなに泣き暮れるなら
きっと夕陽は沈まずに待ち続けてくれてたはずで
届け損ねて手に残った白紙の手紙が
クシャクシャと音を立てて足元に落ちました

光の凍る時間をゼロにしたら
どこまでも遠くに届く記憶を乗せて
彼方で光る夢と託そう
2012-04-29 11:35 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

涙を数えない理由に吹く風は(初出:2012年04月27日)

そこかしこの時間点に封じられた愛を
尽く吹き抜けた南風が極北に届き
貴方の瞳の中に留まったままだった夕陽は
ようよう山際に向かい始める

常に囁きは痛いほどの響きで駆け廻り
私達の耳を塞いで空に渦抜け
届いた手紙を握り締めたままの交差点が
ただ点滅しない信号を呆け見ていただけだった

夢を置き忘れらた校舎の窓からは
栗色の長い髪が風に舞うのが見えたが
想い出せたのは、ただ、それだけだったかも知れない

転がるボールを追い掛けずに蹴り放ち
傷付く事のない花の咲き誇る花畑を走って
北風の吹く岬で抱いてと呟いた
あの時の貴方に会いに行こう

いつでも涙は数えられるばかりだが
私はきっと、数えずに拾い集めて星に届けよう
星に伸ばした掌が熱く燃え
凍った炎が少しだけ、ゆらめくのが見えたから
2012-04-29 11:35 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

それでも止まらない時間と並ぶ(初出:2012年04月26日)

流れを失った川面を見つめる水車が
ボールの転がらない坂道と並ぶ畦道に
白いクローバーは四つ葉を広げ
雲を運ばない風を待ちながら記憶の果てを探している

君が通ったかも知れない、その道を
今日も知らない人々が通り過ぎて行くが、
それでも道を覆う景色は変わらないままで
遠くを見つめていた君を喪失した時を抱えたまま
凍りついた星の輝きを嘆き続けている

太陽と月が逆行する空に星達は沈黙し
音を伝えることのない真空を涙が一粒、流れていたが
私の時間が始まることを忘れたままに光と化して
遠い忘れられた始原に貼り付けられたまま
ただただ、その時だけを待っている

いつか見た夕焼けが、ここから見えるだろう
それが、いつになるのかは誰も教えてくれないが
君が過ごした記憶の残り香が、
静かな風に運ばれて、私の居場所を示す

古びた椅子はガタついていて、今にも壊れそうだが
動かずに座っていれば大丈夫だろう
動かないと言う苦しみの中で心は硬化し
闇の中で触れた優しさにユラユラと沈んで行くが
その底を知る者は、やはりなく
ただ一つ赤い風船が、ゆっくりと飛び立つのを見送り
私の来た道を少しづつ高みから見つめるだろう

君のいた時間と君のいない時間が並び過ぎた時
愛らしい少女がスキップして目前を通り過ぎたが
二つの時間は並んだままで変わることなく、
ただ、それだけという事象を見送っただけだった
2012-04-26 12:05 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

規定された距離で風は吹く(初出:2012年04月26日)

言葉で語れないことを書いたノートを置いて
机の脚は床に触れることが出来ずに佇んでいる

雲の厚さは太陽を規定するが
貴方との距離は、優しさを意味せず
ただ彷徨い先を探して彷徨い続けるだけだった

真っ赤な菜の花に誘われた白い蜜蜂は蜜を求めたが
漆黒の中に沈んだ貴方の背筋は見出せなかった
その長い黒髪が、きっと背中を覆っていたのだろう

臀部に続く曲線は波打ち際に引き継がれ
誰も聞く事のない波音は小波の上を過ぎ
消えた水平線を求めて深海に居場所を求めたが
あらゆる生物を拒絶する、あの峻嶮さに誘われて
一人きりの雪に埋もれて滂沱の涙に出遭う

あり過ぎる意味を持たされた言葉が一つ
私の手の中に残されたが
使うアテもないままに時は過ぎた

いつも未来は後ろから来て追い抜いてくれず
過去だけが眼前の世界を覆い尽くして笑い続ける
語られたコトと語られないコトだけが全てではなく
語られて語られないモノが全てであった様に
ただ風の過ぎるのを待つだけだった
2012-04-26 02:31 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

バス停(初出:2012年04月25日)

山並みの見える寂れたバス停に立ち
待つことしか知らない季節を見送ると
川面の反射光に乗り、
海を目指しす夢と夢は入れ違い
壁掛けの古時計が時を手渡し
掌中には星々が残された

光に忘れ置かれた一切れの雲が
行方を示す風を求め彷徨い
静かに貴方の胸に消え
永い眠りから覚めた貴方の瞳に
最初に映るのは何であろうか

どこ迄も続く花畑の中で二人
どこ迄も蒼い空を見上げながら
物語の始めを語ろうか
終わった始まりを、語り合おうか
2012-04-25 09:38 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

郵便ポスト前にて(初出:2012年04月24日)

言葉にならぬ想いを抱えたままに眠り
声にならない叫びに目が覚めた朝

声にならない声と涙にならない涙と
その間を貫く飛行機雲は主を失い
地平線に遠い所から徐々に消えてゆく

直ぐに空を覆う厚い雲の下
熱したアスファルトの臭いが漂う雨に
ただ打たれ歩く正午は人気も疎らで
哀しみを抱いた人達が無言で行き交う

貴方の熱を覚えている肌が
こんなにも冷え切り痛いのはどうしてだろう

無限の闇に沈む夜は、まだ遠く
覚めぬ夢との間に立ちつくし
届かぬはずの波音に振り返る

握り締めた手紙には切手を貼ることが出来ず
郵便ポストも口を閉じたままに遠い
貴方との、ほんの少しのはずの距離が遠過ぎて
私の足は竦み、その一歩を踏み出すことが出来ない

だから少しだけ近寄って欲しい
私の吐息が届く所までで構わないから
貴方の面影を忘れる所までで構わないから
2012-04-24 14:03 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

秒針の沈黙(初出:2012年04月23日)

別れる季節だけが通り過ぎる街角に
沈黙の記憶は佇んで来ない人を待つ

一陣の風が過る時、夢の匂いが微かにしたが
きっと気のせいだったのだろう
硬化したアスファルトを踏み
空気が重く私達を圧し潰していくだけだった

記憶の欠片を残さずに
宛先を書かずに出した白紙のままの手紙
返るはずもない返事に明日は涙する

今日の陽を昨日に振り向けたら変わるだろうか
星の煌きに想い馳せたら夢見ることが出来るのだろうか

どこに行く宛てもない日々だけが風のように過ぎ、
ただ刻々と終わりだけが運ばれてくる

秒針の響く音だけが、私達を優しく包み
忘れたい昨日を刻み続け、私の肌に切り付ける
ただ黙々と秒針が、過ぎる時を刻んでる
2012-04-24 14:02 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

歩幅(初出:2012年04月23日)

失う物とてない時が角を曲がり
拒絶された言葉達が街を行き交う
欠けた文字が意味を失った看板達

人々は立ち入る見せさえ見出すことが出来ず
優しさと出遭わぬ歩幅で通り過ぎる

赤子のいないベビー・カーが廃れ置かれ
乗る人のない自転車の脇を走り抜けるが
答えを忘れた舗道は唯、黙り込む

いつか見たはずの影が過った気もしたが
後ろから吹き続ける風に追われ
歩幅が少し、広くなっただけだった
2012-04-24 14:01 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

雪原の夢(初出:2012年04月22日)

果て無い雪原に白狼は一人
極北を夢見て眠り、星に照る
満天を渡る銀河を越えて
届かぬ遠吠えを吠え終えて

昨日を生み続ける今日に疲れ
癒えぬ傷で明日を創り
古より絶え間なく降り続く雪は
やがて、その身を包むだろう

蒼い岬は風を受けて
白波の音に咽び泣く
記憶の原始を記憶したままに
白狼は一人、眠るのだ

天地の接点に夢を置けば
永久に触れることは出来ぬだろう
涙の記憶を解き放ち
銀河を渡る、時に渡そう

忙しさに凍る極北の闇に
ただ静かなだけの雪原が沈み
オーロラの揺らぎだけが怪しく光る
夢を映えて、怪しく光る
2012-04-22 10:37 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

明後日の風(初出:2012年04月21日)

見えるはずのない幾億光年遥かな彼方で
小さな、小さな星が生まれる産声が
身体の奥で響き、エコーが繰り返され
私の時空はゼロを基点に振り幅が収束していくが
アスファルトを叩く靴音は、やはり収まらず
止まらぬ歩みを繰り返し続ける
遠く高い峻嶮な山の頂きと、空の際の一点に
想いは届くのだろうか
昨日の漣と今日、出遭ったように
暖かな風は北を目指し、貴方の心を運ぶだろう
世界中の、此方彼方に
そっと散りばめた記憶と言葉
頬撫でる風は、今日も明後日を吹いている
2012-04-22 10:36 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

モノガタリ (初出:2012年04月21日)

周波数の合わないままのラジオを胸に
立ち枯れた白樺の森を抜け
漣の凍った湖畔に佇み、君は

森の鳥達も泣かずに眠り
葉を踏む音は何も無く
赤い半月だけが静かなままに、
東から西へと周る

星の光は消え入りながら、湖面で弾け
君の耳は、そっと、その音を拾い続けるが
私の囁きは遠く届く事はないのだろう

いつか聞いた無限大の宇宙の話
君が好きだった古のモノガタリ
私の存在は、その中に溶けて行き
君の世界で真実になる

一人は嫌いだと言った、言葉のままに
君は人目を避けて、私を透き抜け
あまりに近くて、あまりに遠く
私の哀しみを加速し続けるのだ
2012-04-21 08:40 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

雷(いかずち) (初出:2012年04月20日)

天と地が別れた様に、心と言葉は別れ

心と言葉が別れた様に、真実と嘘は別れ

真実と嘘が別れた様に、君と私は別れ

夢と言う事実を受け入れられない雲のよう

私達の願いは淡く消えゆくのだろうか

遠い季節を飾った鮮やかな電飾は消え

明日、歩いた舗道が哀しみを響かせ続ける

終わり続ける星々の輝きは始まりから遠く

山向こうの雲に映える雷は涙を引き裂く

私達の交わした雫が流氷に重なり海を泣く

足下に広がる優しさに足は萎えゆくが

響き渡る貴方の涙を探して歩き続けよう
2012-04-21 08:38 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

君を求めて旅に出よう(初出:2012年04月19日)

君の基点に見た光と闇とを辿り

闇に震え、光に心温まり、夢を見る

段差のない階段を滑り上がる様に

雲上に出で、透き通った雲を歩こう

時折、見える山頂には雪が積り

足裏の熱を冷まして、

次の歩みを支えるだろう

アスファルトを行く革靴の音が

人気のない闇に響くように

氷結した雲の小さな粒達が弾け

私の胸中に響くから

君と見た秋空の碧さの記憶は遠く

ただ霞む雲だけが眼前に広がるが

すぐに川のせせらぎに流されて

私は君を見ることすらままならない

私達の出遭いが、そうであったように

私達の別れも、そうであったように

いつも時は突然に訪れ、

君の基点は時の中に消えてゆく
2012-04-20 00:07 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

新しい明日(初出:2012年04月18日)

来ない人を、ただ待つ陽が昇り

歩みを止めた馬が草を食む横で

ただ、せせらぎの音に耳を傾け

そっと君の涙を拭おう

草を薙ぐ風が柔らかく雲を留め

蒼と白との混じる際で

君の絶望と溜息を掬い上げよう

荒波に耐えた絶壁に生える一輪の花のように

小さな、小さな君の希望に陽は笑むだろう

世界を構成する微細な粒子

その全ての集積ですら補えない君の哀しみに

私は、そっと手を差し向けよう

力ないままの非力な手だけど

そっと私の、手を差し出そう

二人、握った手の温もりが

新しい明日になるだろうから
2012-04-20 00:06 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

星の涙(初出:2012年04月17日)

語られない季節を追い

足跡の残らぬ雑踏を往くと

昨日、見た明日は消え

戸惑う記憶が闇を追う

夢を忘れた嘘が泣き

陽中に干乾びた真実が

カラカラカラ、と空笑いする

繰り返す雲の流れに空が壊れ

唯、一欠片の雪に大地が割れ

そっと星の涙を拭う

二人の時間は終わりを告げ

季節を踏み渡った記憶だけが

辛うじて身体を保つだろう
2012-04-20 00:06 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

哀しみの炎(ほむら) (初出:2012年04月16日)

心の闇に降る雨を

一粒一粒、拾い集め

涙に流して君は言う

本当の涙がみつからない

時折、差す陽に震える肩

華奢な指先が景色に消える

星のない天球儀を胸に

哀しい炎は歌を忘れ

燃え尽きた薪も静かに崩れる

二人で見送った遠い未来が

受け取られないままに夜空を駆け

疲れ切って闇に変じ

心の雨が更に降る

若葉に生命が宿る時

君の溜息が寝息に変わり

私も同じ、夢を見よう

二人で同じ、夢を見よう
2012-04-20 00:05 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

君の嘘(初出:2012年04月16日)

そぞろ歩く昼の三日月を追う太陽は

雲に隠れては顔を出し、顔を出しては隠れ

光散る合間に見える風景に君は消え

私の足跡は前に続く

遠い山に集う木々達の囁きは

風に乗って頭上を超え行き

私の言葉を乗せて運ぶだろう

いつか触れた水面の感触を確かめながら

私の掌は空を掴む

君が嘘だと言った全てを胸に

私の道は、どこまでも続く

本当は、本当を知っても哀しいだけで

私の頼りは君の嘘だけだから

今は見えない星屑を追うように
2012-04-20 00:04 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

のん・いめーじ(初出:2012年04月15日)

光速で駆ける汽車を乗せ

透明な線路が東へ西へと走り通る

汽笛は遠く近く吠え続け

引き裂かれた線路と線路

その間の一点に立つ

寝台には男が一人、頭を抱え

赤い夜闇をチラ見している

私は一人、汽車を追い

ただただここで立ち尽くす

全てが始まり全てが終わる

ここで終わりここで始まる

繋がらない点と点

走らぬ汽車を乗せたまま

線路は黙って走るだろう
2012-04-19 13:20 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

紙片は問う(初出:2012年04月14日)

記憶の沈んだ大地を

涙で出来た空が駆け覆い

湖畔に続く君の足跡

裸足の足裏から微熱を得て

辛うじて保つ血の暖かさ

乾いた雨は降り止まず

君の髪は濡れ続ける

答えを求める歩は戸惑い続け

中途半端な答えが記された紙片達は

終わることなく舞い降り続ける
2012-04-19 13:19 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

三日月(初出:2012年04月13日)

どこにでもいる私が

どこにもいないと気付いた時

薄い朝焼けに浮かび嗤う三日月

放たれた言葉は水面に散り

水飛沫が闇に消える

涙で出来た雲も消えたが

蒼天は許してくれるのだろうか

仰ぐ私の目に滲む夢と

嘘を砕いて瞬かせた星々と

温かな子守歌の響きは

私の身体を満たして行くが

虚ろな心が、また、咽び泣く
2012-04-19 13:18 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

終春(初出:2012年04月12日)

桜散った宵闇の

貴方の肩に寄り並び

砕けた愛の言葉達

繋がりなかりし長吐息

白くなりゆく夢と夢

雲ない空に海が泣き

ようよう歩けば笑う膝

それでも時は夏を待つ
2012-04-19 13:17 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

氷結するコトバと(初出:2012年04月11日)

共有されない時間プリントに向かい

柔らかな陽光に鼓膜を裂かれながら

黙々と唯、共有されないコトバを刻み

提出するアテのないプリントは厚く

隣人のペーパーは白紙のままに埋もれ

記憶の闇を浮遊し続ける心に手を伸ばし

茫洋とする身体の輪郭をなぞる

見上げた先には何も書かれていない黒板と

寂しさにに佇む影だけが漂い

震える手の刻むコトバ達が浮かんでは消え

たった一つの星の涙に氷結する
2012-04-19 13:16 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

誓いと約束と(初出:2012年04月10日)

南天に、誓い届けるサザン・クロス

儚い宴に酔いしれる、星々達の鼻歌と

浜波音を両手に掬い、貴方に渡す

細い絹毛を肩向こうに追いやれば

檸檬が好きな貴方の頬は残陽に火照り

ハイビスカスの唇が、暗海を照らす

二人の歩む砂踏む音が、

ひたすら、しじまに消えるので

私達の歩みは止まず

夜明けを待つまで続くでしょう

北極星が見たいと呟く

伏せた貴方の頬を寄せ

昨日の約束を果たしましょう
2012-04-19 13:15 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

非私との間(初出:2012年04月09日)

虚空に漂う時間の間隙を埋める言葉達

その凍り砕かれた欠片の一つ、一つが

生身の心臓に突き刺さり、鼓動は時を忘れゆく

融けては刺さり、融けては刺さりして限りなく

血まみれの心臓だけが魂の安らぎを憩い

身体の一つ一つを源に返し去っていく

地上に残るは渇いた血の付着した骨ばかり

言葉という嘘を泳ぎに泳ぎ

疲れた身体の残滓だけが地に満ちて

遠い極北も失せたまま

私と非私の間にある距離は

やはり、言葉と共に遠ざかる
2012-04-19 13:14 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

PianoMan 感謝とともに(初出:2012年04月08日)

闇に呼ばれた星々が煌く前、深いグラデーションに抱かれた紺と臙脂(えんじ)の合間に浮かぶ宵の明星と、残り陽を受けて益々、強く光を放つ月が輝きます。
人気の途絶え始めた道を、長唄を乗せた下駄がカラン、コロン・・・
私の履く下駄は右近下駄のさらに特殊な形状をしているので、そんな風情はありませんが。

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2012-04-19 13:13 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

春、淡く(初出:2012年04月08日)

まだ薄寒い春の陽中

淡く光るうなじの産毛に

そっと唇を寄せましょう

君は明後日を向いたまま

湖畔に一人、波を聴く

そっと回した腕の中

優しい熱が心の芯に火を灯す

届く事のない君の言葉が

心の中で木霊する

夢中の出遭いは嘘かしら?

君は悪戯に波跳ねて

澄んだ瞳で空を打つ

記憶は消えて光に変わり

二人を包んで消えて行く
2012-04-19 13:10 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

烏の唄(初出:2012年04月07日)

山際と空の合間が消えゆくグラデーションを追い

静かな喧騒に包まれた街灯を一本、一本と歩み

辿り着いた野原に一人立つ街灯の上に佇み

傍らの首傾げる烏と共に、渓流の囁きに馴染む

空明ける彼方を想い、サラサラと、サラサラと

波音は遠く、届かぬ野原は広々だ

暖かな陽に包まれた、貴方の鼻歌が愛らしく

街灯の微かな灯りが、足下から微熱を伝えてくる

そうして立ったまま、今日も明日を待っている

昨日が今日を待つように、明日が今日を忘れるように
2012-04-19 13:09 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

遠近(おちこち) (初出:2012年04月06日)

無数の永遠を集めて縮めたゼロ秒間

交わりようのない黒と白の接点に醒めた炎を伸ばし

なぞる貴方の指先から微かに漏れる溜息

満開の桜に囲まれて立ち枯れたままの一本に寄り

樹皮に耳を当て消えたはずの水の記憶を追う

命の宿らない魂が、月に抱かれて雲間に薄れ

闇を吸い込んだ肺が沁みる時

私は貴方の夢を追おう

冬に凍えた大地に横たわる累々を越え

私は、もう少し、貴方の夢を追おう

遠近に散った陽の光の一粒、一粒を拾い集めながら

私は、もう少しだけ、貴方の夢を追おう
2012-04-19 13:09 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

幻灯(初出:2012年04月04日)

銀白に煙る氷雪原を渡り

厳冬の山複にまで残る足跡を振り返っていると

ポカリと小さく開いた岩窟から囁きが響く

少女が私を過ぎ、岩窟の中から呼び寄せる

小さな火が今にも消えそうに炭に籠り

私は傍らに疲れ、しゃがみこんで息を吹く

息の届いた時だけ少し赤みが増すだけで

私の溜息は増えるばかり

一人、黙って消え行こうとする火を見つめ

傍らにいる人に気付く

凍えた私の手を見つめ、ただ黙って見つめ

さらに反対の傍らにも人が座り

黙々と微笑みながら薪をくべている

向かいではゴソゴソと毛布を探す人がいて

背後には、そっと背中に手を当てる人がいて

小さな火を優しく守るのだ

黙ったままに優しく守るのだ
2012-04-19 13:08 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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拝啓




Author mak From "空白"

想一葉、兼訪問帳

星々の冷却(書肆侃侃房)
渓谷0年(オンライン版)
Both by mさん

【 無意味という意味 】
すこしの風を追いかけて
【 短文 】
大海にも降る一滴
2015.07.17.

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