詩の読み方

とあるSNSに参加した時にブログ欄があったのだけれど、少し特殊な場で書くことが限られていた(ように感じた)。
そこで、ここに書いてたような落書きをしていたら気に入って下さる方々がいらっしゃったので、「毎日、詩を一個、一年続けたら誰でも詩人になれる」という吉本隆明の冗談を受けたMさんが「『自分が詩人だと想える』ようになった」と書いていたのを想い出して書き始めた一年前(参考)。
なんとなく約一年、落書きを続けてみた。

結論から言えば「詩と言われるようなものを書けるようになってみたいものだ」とは想えるようになった、という所で留まる(苦笑)。
それでも恐らく中学以来になるかと想うけれど、詩についての勉強に少しチャレンジしてみた。凡そ(詩の)書き方から読み方・・・そういった類のものを勉強したことがないので新鮮な体験でもあった。
テキストは頼りになりそうな吉本隆明から、入手し易い安価なものを選んだのだけれど、「そんな風に読めば良かったんだぁ」と。また隆明は、色んな意味で正直な人なので、分からん時は分からんと言うスッキリさが気持ち良いし読み易い。

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2013-03-31 13:59 : 消去一葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

泣声は聴かれないまま響く

晴れとも曇とも言える曇天の下では
聴こえない泣声だけが響き
微かな哀しみを運びながら風に揺蕩っている

記憶の中にしかない小川には
細い枝が数葉の若葉を掲げ伸び
鮮やかな翳りを、その流れに映しているが
それは決して見ることはないものなのだ

誰もが、そうして街を行き交いながら
乾いた陽気さで挨拶を交わし
意味もなく急く気持ちを抑えた笑顔を浮かべ
少し離れた交差点で立ち止まることを祈っている

そうして黙って肩を並べることを
黙ったままの影を路面に並べることを

耳を塞いでも響いてくるから
聞きたくもないのに響いてくるから
黙っていることは辛いのだけれど
それでも黙ったままでいずにはいられないのだ
2013-03-31 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

凡そ一気圧の中

凡そ一気圧の中で、見えるだろうか

吐く息で渦巻く様が
吸う息で渦巻く様が

少し歩く、渦が巻く
手を挙げる、渦が巻く
何かが蠢く、渦が巻く

そして渦と渦とは出遭うのだ

マーブル模様に渦と渦とが混交し
混交したマーブル模様の渦が
更にマーブル模様の渦と混交し
果てしなく続いてゆく様は
とても美しく禍々しい

光は、その美しさを演出しない
塗り潰してしまうくらいだ

仄明るい闇の中でだけれど
静かな渦が、ゆっくりと舞っている
2013-03-30 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

過ぎゆく時を陥穽として

私達を失った哀しみを奏でる
不在の旋律を岸辺に置いて
蒼さを忘れた空の下
雨の眠りを被りながら泣いている

忘却は常に忘れられながら
それでも去る所を知らないので
それを喪失として私達は嘆くのだろう

波音が哀しく聴こえるのは
山の端が紅く染まるせいではないけれど
山間の夕暮では、いつも波音を想い出す

川辺を歩く夜霧を抜けて星の光は地に砕け
私を追う全てに渡しながら
手にした枯葉の温もりに語られ尽くした愛を託し
そっと川面に浮かべるけれど
反対方向には進んでゆかない

草原を駆ける水面のように
私達と私達の間は変わらぬ揺らぎを揺蕩い
知らぬ時間だけが過ぎ去っている
2013-03-29 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

終わりを知らない予兆だけが

昼も遠く過ぎた頃
闇を予感させるくすんだ蒼に
沈む空が真紅の夕暮に開くと
終わりの予兆としての静けさに満ちてゆく

終わりを奪われた哀しみはブランコに乗り
行くべき先を探しながら微かな風にも揺れるが
持主が還ってくることは、決してないのだ

夜の通り過ぎることのない窓を
闇を呼ぶ雨音が激しく叩き
その憂鬱に残照は立ち退いてゆくから
フロアは冷めてゆくばかりで

星を跨いで時が過ぎると
置き去りにされた季節と共に
細い月が独り、昇り
沈む先に向かって歌い始めていた
2013-03-28 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

隠された風景だけが見える

ホリエモンの仮出所のニュースを見た。
つい先日、まだ彼は収攬されてるのだったろうか?と話していたところだった。


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2013-03-27 12:05 : 消去一葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

忘却に見捨てられたままで

生まれる時には終わっていた恋の中で
星のない星空を眺め語らうように
愛のないままに愛を語り合う

訪れなかった季節を追い
消えてゆく波音に耳を澄ましながら
跨げなかった夏に留まったままなのだ

夜の静けさを水面に咲かす池端で
止まったままのブランコに乗りながら
揺れた数を、そっと数えるから

森に忍ばせた哀しみを取り出しながら
闇を燃やそうと幾度も試みては
より深い闇に沈んでゆく
それに似ているかもしれない

開いた手帳は、いつも白紙ばかりで
貴方は黙ったまま笑いながら泣いたけれど

昨日、歩いた川に投げ込まれた
小指の先より小さい小石の音を覚えているかい?
もう、忘れてしまいたいのだけれど
2013-03-27 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

街路の両端

余は知らぬ一葉に落つ蒼い滴の儚さで
一夜の夢も醒めやらぬものか
中天の陽光は、眩い欠片に照っている

雲に翳れば永らえもしようが
翌夜までをも過ぎたかろうか

遠のく鐘の、音の内で
静かな夕暮れは訪れるままに去る間
昼喧騒の名残が集散を繰り返している

長い街路を抜けると
哀しみの面影を脱がねばならない
だので立ち止まってしまうけれど
行かば、行かばと囁いてはいる

鳥の航跡をなぞりながら
途切れた水平線に指を挟み
寂しさだけを頼りに手紙を書くけれど

宵酒が哀しくなりそうなので
酒屋の前は素通りしながら
そっと、その名を呟いてみよう
2013-03-26 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

時、過ぎぬので

哀しみに託し続けた手紙達を一枚一枚と
凍てついたまま燃え盛る炎にくべれば
少しは暖の足しにもなろうか
冷たさも、少しは哀しみに消えようか

夜の思案は眠りを誘う
遠ざかってゆく時間達への追憶だからだ
冷えてゆく晩春の翳りだからだ

薄れゆく小川のせせらぎを
どうして止めることが出来ようか
絶えて泉は、全て涸れてしまったというのに

想い出に変るまでの時間を
哀しみと共に過ごすというのか
その哀しみさえ想い出に変るのを
待たねばならぬというのに

過ぎぬ時の、あまりにも残酷なことよ

そして又、届けることの出来ぬままの手紙だけが
寡黙なままに綴られては縛られた哀しみとなり
唯、一つの眠りの縁として打ち震えるのだ
2013-03-25 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

雪の夜から昼までの間

蒼く燃える星空を
醒めた流星が駆けながら通り抜けると
天蓋から光を失った炎が漏れ零れ
紅い雪となって降り始める

冬の朝は、そうして訪れを告げ
冷たいままの陽を浴びながら
切ない足音だけが、いや増しに過ぎてゆく

いくつもの交差点の信号を目印として数えながら
一つ目の信号で立ち止まるべきだった
いや、あそこの信号で曲がるべきだった
車内の議論は止まないままに車は走り
雪の熱さに気付く者はいないのか

触れたもの全てが灰塵に帰す
その激しさで雪は沈黙を降らせ積もり
窓の内から呆然と眺めることしか許さないのか
ただ、知ることを許されないだけなのか

中天に太陽が懸かる頃には
皆、空腹に耐えかねて黙り込み
綺麗だね、と誰ともなく呟き
冷たくなってゆくエンジン音を聴きながら
雪と一つになることを知るのだろうけれど
2013-03-24 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

冬の手紙

冬の夜に降り始めた雨のけたたましさに
光る雪は終わりを告げられ闇に溶けてゆく
まだ、つつけば凍るほど冷たいままに

空気が打ち震えながら肌を刺し
風に混じりながら屋内を落ち着きなく飛び交い
身を寄せる暖炉の灯は微かに雨を照らし出す

哀しみの周囲を二度ほど巡った手紙は
握り締める掌の中で言葉を失いながら
書き手の心からも遠ざかり、忘れてゆく

そうして、ようやく手紙は読み始められる
雨交じりの雪を踏む音に怯え
ランプの炎にチラつきながら

やがて鉛筆を握り締めて書かれる返信は
そうして、何を語るのだろうか
結末は記録されないままに過ぎてゆくものだ

分厚い辞書の間には何通もの返信が挟まれたままで
それらは皆、朽ちる時間を待ち続けている
辞書が開かれ光を浴びること
それが一番、怖くてたまらないと震えながら
2013-03-23 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

夜雪を戴く者達

淡雪を戴いた小枝が
ぼんやりとした球体で浮かび
その外輪に捕まったように
昇りかけの陽は止まる

越えられぬ一線の内
雪に凍り付きながら太陽は青ざめてゆき
消去さえ失う恐怖に震えるのだ
残酷な不確かさで切り取られた日輪と

雪解けを舞う流氷は
ぼやけた陽に少しは融け
ぼんやりと海を漂っている

記憶を失った時間が始まり
窓枠の内で終わる物語が語られ
ベッドに起き直ると直ぐに
夜に向かって朝は疾駆する
2013-03-22 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

雲の切れ間を、虹は渡る

空を咬んだままの雲が垂れている
淡雪に身をやつしながら
もうずいぶんと永い時間になるだろう

凍て付いた波濤が砕けながら
消えてしまった時間の欠片、その合間を縫い
岬を越えながら空に戻り続けているというのに

交わされた約束達を偽りとして
碑文は哀しみの真実を伝えるのだろうか
一本の鑿だけが使い手を待ちながら
永遠に朽ち続けている

雨の匂いが遠ざかると
独りきりの恋が海峡を挟んで始まり
別れゆく鐘の音が雲を食んでいた
2013-03-21 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

時間、順番、言いたいコト

線香の重なる煙も絶えて苔の増す 墓石の下に爺と婆





苔の増す墓石の下に爺と婆 重なる線香の煙も絶えて

屠殺場で死んだ牛は金を生み 処分で殺した牛は土かな





処分場で死んだ牛は土となり 屠殺で殺した牛は金かな



(#)
2013-03-20 14:49 : 消去一葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

濁りゆく透明性

蛇行しながら並ぶ花を遡上して
雲の純真に抗う雨と出遭い
秋の海に漂う海月の歌を聴いた

坂道に変ってゆく街並の下で
泣くように灯された蝋燭の話と
立ち上り始めた冬の気配が
記憶の曖昧さに混じりながら
今日の午後は始まる

破れたままの庇の下で
束の間の雨宿りをしながら見た
揺れ続ける梢の終わりを胸に
失った写真の面影が重なり

失われ続ける時を刻む足音を
水平線にまで吹き、戻る風に托し
知らない街の夕暮を浴びながら
白く透けてゆく指先を
いつまでも見つめていた
2013-03-20 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

言葉を逃げるものと定義して

逃げてゆく言葉を捕まえられたとしても
明日の朝陽を浴びること
その確度が上がるわけでもないのに

増すばかりの圧力に耐え切れないからだろう
逃げてゆくと知りながら、知っているから
追い掛けるしか術も知らず
哀しみを噛み締めて坂道を下りながら追うのは

夜の深さが言葉の深さに比例しないように
言葉の深さを泳いだからといって
それが、どうということはない
無意味だけを追い掛けている自覚を強めるだけだ

時代を遡って知れないことを
どうして未来に知ることが出来ようか
未来を見ることが出来ずに
どうして過去を見ることが出来ようか

繰り返す命題が壊れたテープのように繰り返す
言葉が、いつでも逃げるから
言葉を、いつでも追い掛けてしまうから
論証された哀しみとして
言葉は壊れたまま記憶され、逃げてゆく
2013-03-19 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

足跡だけを残して鳥は行き交う

逆算された別れを行き交いつつ
もがれた翼を探し求める鳥が空を啄み
閉じてゆく花の中に消えてゆく

解読されない石碑を読み上げながら
私達の影が薄くなる時間を波が洗い流し
哀しみの出遭う場所を波音が晒している

月の表面を流れる協奏曲が
月明かりと共に夜の街に降り注ぎながら
眠る先を求める人を癒しては
また果てのない空に還るけれど

美しさを罪としながら独りの湖畔を巡り
優しさを悪としながら不知火に焼かれ
足すほどに欠けてゆく愛を抱く人達が
渚の中に眠り始める

その歌を止めないでと懇願する声が
夜のカーテンを波に変えながら
朝まで静かに揺蕩い続けていたので
鳥も足跡だけを残し続けていたのだった
2013-03-18 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

還れよ、眠りよ

下書としての遠い空を
持主に捨てられた影が横切ると
雲を伴わない雪が舞い
梢を知らない桜の花弁が散った

永くはない時間
水音が波紋に変る程だろうか
湖畔で私達は来ない人を待ち
もう一度だけの手紙を書き始める

封を切った封筒の中には
微かな砂糖の味だけが漂い
昇りかけの月が白い舌で一舐めし
頻りに顔を顰めているが無くならないのだ
幾度も月は昇っただろうに

見上げられることのない瞳に
月は憐れみのキスを投げ掛けて
首を傾げながら中天に昇り
結局は消えるのだが

今日の夕暮れは
あの公園の花時計を左回りしながら
独りきりの、優し過ぎるデートを終えて
戻っているだろう鳩を連れ
眠りに還ろう
2013-03-17 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

消えゆく雨の姿を追いながら

虚像が立ち並ぶ世界を降り止むことのない雨の
架空の哀しみが刻まれた、溝のないレコード盤は
空低く吊り下げられ、乾いた嘲笑に欠けては満ち
止まらない虚構を川が流れている

行先を失った言葉は枯れ
饒舌さの渦中を舞いながら地に着くと
朽ちかけたまま消えることも出来ず
冷たさの全てが降りかかり続けていた

泣いてはいけないと握り締めた掌中に
とうに形を失ってしまった記憶は身動きもとれず
正体のない闇へと変わっていったが
睫毛の先に灯った幻灯を見つめていると
見たことのない走馬灯が静かに回り始めたのだった
2013-03-16 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

断筆断章 -1-

削除したいことが多過ぎる
書き換えたいことが多過ぎる
書き加えたいことが多過ぎる
そして結局、書くべきは何もなかった

そんな風に感じながらも「残っていたものだから・・・」ということばかり。

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2013-03-15 11:43 : 消去一葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

記憶に架かる橋

無限の境涯に端が霞む橋の
幾度も繰り返す往来

輪廻する川の流音を被りながら
欄干に凭れて乾いてゆく影と向き合っては
果てなく冷え切る空虚さに慄き
ただ意味も無く歩き出そうとする

靄向こうは鼻先すら霞む程だが
相当に強い光なのだろうか
ぽうっと白く人型が浮かんでは擦れ違い
振り向く先には何もない

雲に跨った後のように
ズボンの股座は濡れそぼり
その歩みもここまでと
足留めし続けている

橋下を過ぎるのだろうか
船頭の歌らしい呻きが
微かに靄を揺らしながら響いては消え

決して交わらない行路の虚しさに耳を塞ぐと
閉じたままの瞼を透過する強い光に薄目させられ
知らない記憶ばかりが飛び交っていた
2013-03-15 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

星が滲んで七色の夜には

二度と通ることがないと知った道を
人は幾度も振り返りながら通り過ぎるが
次に通る時には忘れている

それは反対から通り過ぎるからなのか
よくは知らないけれど
その度に空の色は変わってゆき
本当に知らない、二度と見ない空に変わってしまう
それだけは確かなようだ

いつも空の色は変わらないというのに
何が変わってゆくのだろうかと
いつもの星に問うのだけれど
悪戯めいた煌めきを返すばかりで分からない

ただ今日の陽の光が眩し過ぎ
星の姿が良く見えない
少し苛ついているせいもあるのだろうか
七色に星が滲んで見えるのだ

星が七色に滲んでいる夜は
きっと早寝するに越したことはないのだよと
小さい寝物語に聞いた記憶を想い出し
甘い砂糖を一舐めしてから枕を抱いた
2013-03-14 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

黄色いペンキ

もう終わるはずの雨は暖かく
早くも次の季節の笑顔を洗いながら
貴方の側を通り抜けてゆきます

古いままの日記に記す新しい昨日と
古びてしまった明日の間で
紙魚が動けなくなっているので
きっと今日は来ないのでしょう

貴方の快活な笑い声も
暖か過ぎる雨に紛れて聴こえません

石を蹴りながら歩く癖を覚えています
いつも空振りすることも
石が飛ぶと驚いて哀しんでいたことも

黄色いペンキの音が鳴っているので
きっと春の花が咲き始めます
貴方の春の花が咲き終わります
2013-03-13 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

月は浮かんでいる

泊まる車のない駐車場が
スクエアからペンタゴンへ
ペンタゴンからオクタゴンへ
オクタゴンから、円へと変わり
やがて剥がれて月と入れ替わる

知ってはいるけれど
誰も見たものがいない、その光景は
耳を澄ませば、それと分かる

陽中で転寝し、寝返りを打つ
衣擦れする音が、それだから

ドライフラワーに水を上げるのも
良いかもしれない
花弁に囲まれた丸い月が浮かぶから
それもまた、それだと分かる

薄氷の上に浮かぶ月というのは
大体が、そういうものらしく
やがて水中に沈んでは藻に絡まって
出てくるのも億劫に
月は昇らなくなるものなのだ
2013-03-12 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

乾いた雨を通り過ぎるために

月が太陽を覆い光る、その過ちさえも越え
通り雨の静けさは私達を追い掛けてくる
ただ追い越し際を波打際とするためだけに

夢の中でだけ光る虹を見つけ
泉の端で幾億光年先かで歌われた歌を聴きながら
宙を舞う星を掌で掻きつつ私達は泳ぐだろう

暗い深海に足先を掴まれたまま
冷えてゆく海に下半身を捕らわれたまま
私達は宙を舞う星を掌で掻きながら泳ぐのだ

そうして想い出す壊れたカセットには
あの通り雨の音だけが記録されていて
その音が、やはり深海に沈んでゆくのを知る

反転する次元と次元の合間から覗く
醜悪な林檎を齧りながら
聞き覚えのない言葉で詩が語られ
反射しない雲に虹を映しながら
乾いた雨を通り過ぎるから
2013-03-11 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

薄れゆく雲だけが追い縋る空

逃げゆく空に追い付くために
雲は風を誘うのだろう

空の拒絶に対する怒りとなって
積乱雲の激しさは
届かぬほどに増してゆく

雨を被って歩いていると
雲の怒りや哀しみや
絶望までもが身に沁みる

骨笛の音が乾き切り
星の粒子となる時間
ループする追憶だけが満ちながら
静かに雲は薄れゆく

幾度も繰り返して終焉に向かう全てを
その瞳に引き受けながら
雲は静かに薄れゆく
2013-03-10 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

夜、海は

最後の雪、一片が舞い終わると夜の海が開き
距離を測れない対岸を彩る美しく並んだ街燈や
民家の灯や林の中をチラチラと走り抜ける車の灯に向かい
銀河は星々の光を注ぐのだった

始めての季節の熱を保ったままの掌で
冷え切った砂を撫でながら
海鳴りの止まる時間を待ち
終わらない愛について記した本を閉じた

夕暮を知らぬままに乳母車は坂を下り
拒めない加速度に乗って路外に弾き飛んだまま
持ち主の知らない時に染まりゆき
誰かが収めた西洋人形の瞳には私と同じ夜空が映っている

映画で聴いたことのある歌を歌いながら
誰を照らすこともない街燈の一つ一つを数えつつ
男が一人、夜の湾を静かに巡り、私の後ろを歩き抜ける

握りしめていた始めての季節の砂を
凪から蘇った海風に攫われながら
次の季節の砂を踝までまぶし
最後の季節に向かって夜の海は閉じてゆく
2013-03-09 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

空を孤独に染めながら

冷え切って凍える渚を
疲れ果てた指先でなぞると
パラグライダーの先行する軌道をなぞり
海鳥が啼きながら周回し続けていた

遠過ぎる空は虹も捨て
その欠落を紅い夕雲で埋めながら
徐々に姿を消してゆこうと
短い時を手放さないように足掻いている

横切る太陽の熱さに焼かれ
黄道の物語は終わりを告げながら
言葉を失った星達の囁きが
夕暮後を静かに響いている

帰る先を失った犬が一匹
壊れた自動販売機の点滅の下
ほんのりとした暖かさに縋り
寝床とするように
遠く離れた一つの矮星が月を巡る

空には、いくつもの穴が開いたままで
それぞれに穴のない、そこだけを寝床とし
全ては独りで在るだけだった
2013-03-08 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

眠りを抱き締めて

優しいフロアに抱かれたまま
夢のない眠りを抱き締めていた
貴方のいない眠りを

目覚めは睫毛に
光を灯しながら訪れたけれど
ただ喪失だけが満ちてゆく窓枠の遠くで
切なさが輪郭を失ってゆく

覚えている限りの横顔を
描き残せる筆が欲しいと
泣きながら向かう白いキャンバスと
椅子を周回する白い猫と

時計の音だけが哀しみを刻み
無限小にするけれど
決して消えることがないままで
やはり今日の空も青いのが
たまらなく悔しかった
2013-03-07 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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拝啓




Author mak From "空白"

想一葉、兼訪問帳

星々の冷却(書肆侃侃房)
渓谷0年(オンライン版)
Both by mさん

【 無意味という意味 】
すこしの風を追いかけて
【 短文 】
大海にも降る一滴
2015.07.17.

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