我らの獲物は一滴の光

「我らの獲物は一滴の光」
田村隆一が親友から教わったルネ・シャールのアフォリズムだそうだ。

一滴でも光は光、我ら無数にありて、一滴でも光は光
むしろ我ら、無数にあれば光、一滴でも多過ぎるやも…
呑み足りなかっただけなのかも知れないし、ただ涙が不足しているだけなのかも知れない。
(初出:2015.30.25.)
2015-04-30 00:00 : 実験中&備忘録 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

蝶のような季節だろう

冬の光のなかに立ち上がる蝶のように、陽の光なら立つだろう。
君を迎えにくる誰かの足音のように、
いくつもの街の音、いく台もの街角を曲がりゆくササラ電車。
向こうから、遠くから、うんと向こうから-
冠雪を振り払って山が哭く、振り払われた冠雪を潜って鳥が飛ぶ。

いつでも季節は、そんな風にやってくる。
川が垂直に空を目指そうとし始めれば新しい季節になったし
君と流れた川さえ氷を解いたに違いなかった。
しかし だれも迎えになど来ないだろう。
迎えに来たら悲しいだろう。

ぼくらは柔らかな温もりに酔って霜を踏む
真夏の炎天下でアスファルトに足裏を焼いてしまうように。
遠くで白壁が叫ぶだろう。
その先に夕暮を見てしまって ぼくらは
腹を抱えて笑い転げてしまうだろう。

月が昇る、月が昇る、白い月が昇るんだよ、と
小さな小さなミソッカスがはしゃぐだろう。
疲れに疲れて山鳴りに抱かれ、山嵐にも抱かれ、
ぼくらは私を取り戻しながら一つのグラスの前に立つ。

グラスのなかで踊り続ける蝶を見ながら
惨めな感傷は遠くへ追いやり、
うんと想い切り、うんと楽しく一杯、一杯と
いつまでも、いつまでもやるのだろう。
2015-04-30 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

有資格者 - <主体>についてのメモ書き -

「自傷行為」というのが取り上げられることがある。
私は典型的な自傷行為(癖)を持ってはいないが(喫煙くらいは自傷行為ではない、というレベルで)、その気持ち自体は分からなくもないかもしれない、とも想う。

自傷行為においては「傷つける私」と「傷つけられる私」が現出するが、この両者はともに「私」という資格の元に存在し、恐らくは自傷行為によって“共に”快楽を享受する主体として現れるだろうと想う。そして、この“ふたつの主体(構成)”というのは、実は広範に観察されるだろう、いや、むしろ人間という不可解な存在構成にまつわる根本性すらあるのではないか?というのが率直な感想だ。

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2015-04-11 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

<主体> 試論 -主体という"場"の一風景-

反論しない自分を侮蔑することは、侮蔑する視線のなかに宿る自尊心を最も容易く満たしてしまう、という、ありがちな話から始めてみたい。

そのとき、私は私に対して最も巧みな可罰的審判者として、あらゆる罰を甘美な快感に変容、吸収させてしまう。私の罪を告発する私という審判者はナルシシズムに加担する、最も賛美され愛されるべき<絶対的存在者>となる。告発され断罪され罰せられる私と、告発し審判し罰する私という構造から導き出される装置的現象は、<いずれにしても>私は欲望を満たされ得ることになる、ということだ。
<他者との関係>は、そういった、いわば受動的私と能動的私のどちらを選択するべきかの最後の圧力として機能するのに必要とされるに過ぎない。

<主体>は存在するが、ただ如何なる<視線>よりも素早く<享受>の場所を占めてしまう、<存在する非在者>であり<"遍"在する"偏"重力>そのものといってよく、<主体>の鋭敏な先見力と巧みな構成力は脅威的ですらある。
ただの事実、ただの属性でしかないものにすら<主体>は、あまりに鮮やかな色を持たせ、あまりに種々の価値を持たせてしまうのだ。

そういう性質を持つ<主体>に対抗して東洋思想の採った<戦略>が「不動」であり、「色即是空 空即是色」という<認識>である。
2015-04-10 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

川なら空に流して

美しい人の横顔は見上げる川より遠いので
適当な堰堤に横たわって古い季節になるが
ジーンズのポケット内で泳ぐメダカたちよ
そこは学校ではないんだけどね

空に貼りつけたピンナップガールなら
ウィンクもせずにコチラを見つめたままで
夜ばかりを抱き寄せようとしている

ボクというべきか私というべきか
見失ったままのことばを脱いだとしても
それでは今日の終わりには遠すぎるんだね

捨ててやれ、捨ててやれ…

いくつもの叫びが聴こえない明日だったなら
傘だって持っていただろうに距離を止めて
ただの時間だけが広がってゆくんだよ
2015-04-09 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

朝、朝よ、朝

朝が光るか光が朝するかして
街の瞳が一斉に見開かれると
冷たい雨がいっそう激しく落葉する

芽の芽、花の花、蕾の蕾-

落はくした恋人の固く結ばれた手と手が
成長からそれて一杯のコーヒーになる

キミのスキは全力で過去に向かう
キミのアイは全力で未来に向かう
キミのアシは全力でエキに向かう

すべてのリップが一本の
スティックなんかに奪われる命になる
2015-04-08 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

三日月の踊り

ちょうど半円の弧を保った細い月
弧の頂点がちょうど水平線に掛かり、
放たれると空を目指す月、
水平線をスルスルと滑り忍び寄ってくる月

空の月は知らない
水面の月は浜には上がれない
寒さをしのぐための炎の上でなら
無数の三日月が爆ぜている、踊っている
ぼくと君は踊れない
月が消えるまで踊らない
2015-04-06 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

ある朝、ただの朝になる

海辺に出て波を見て風を見て
戻る山を見失う
冷たい木漏れ陽 温かな木漏れ陽
穏やかな舗道の上に横たわり続ける瞳は
春の雨に干からびてゆく
ただひとつの、朝になる
2015-04-05 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

ある夜桜

秋のように降る春を
しんしんと踏みしめて桜が散り
人はそのとき凍るだろう
世界の異和の限界で
<孤立>の意味すること意味しないこと
すべてを目の当たりにして人は
桜の樹に晒されながら
そのとき柔らかに凍るだろう
2015-04-03 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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想一葉、兼訪問帳

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【 無意味という意味 】
すこしの風を追いかけて
【 短文 】
大海にも降る一滴
2015.07.17.

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