空白

苦しみは、沈黙する

2015-07-26 00:00 : Zero Areas Ⅰ/0 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

夏の冬を、きっともう想い出せない

どこまでも夏景色しか見えないので
冬だと想っている歩幅で少し歩いていただろう。
歪んだ季節だけを通り過ぎる風に吹かれた帆が孕むと、
出航する名のない花の傍らにならば、きみに似たかなしみが微睡ろんでいる。

私たちが通り過ぎた横を見ていない、つまり視界は、常に私たちを裏切るばかりだった。
月を砕くように静かな波が夜の水平線を形作り、私たちの間に横たわる。
冷たさを求めていただろうか、求めていただろう、それしかなかったのだろう。
たしかに私たちは裏切りのことば、偽りのことば、あらゆる手段を通じて、
その冷たさを回避しようと努めてきたことに疑いを持ってはいない。

しかし、こうして横たわる夜の水平線を前にすれば、
やはり冷たさを、そこに与えねばならない、そんな気だけで終わらせてしまう。
そして、それだけできっとよいのだと想ってしまう。
ああ、だから夏は来ない、冬道を歩けば冬景色しか見えず、
やはり冬だとしか想わないし疑わない。
その安逸をよしとするでもなく疑わない。

しかし遠くを見れば彼女は夏を生きている。
私たちには決して訪れない夏だけを彼女は歩き、彼女は生きている。
だから冬を捨てねばならない、そうはいわない。
冬はもう、忘れられた季節なのだから。
いくつかのことばを並べさえすれば、私たちは冬を忘れられる。
いくつかの砂粒を並べるように、そこに並べさえすれば、
どんな季節も、どこにでも遺棄されたまま大人しく息絶える。
夏景色の青い空のした、降る雪を積もらせて、きみはいう。
夏のすばらしさを、きみがいう。
2015-07-24 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

指先と、そして指先と

そこまでで終わる陽の光を追いかけて、私の指先は触れているだろうか、その縁に。
ただ冷たいだけの光の終焉を見送るように、さらに先に伸びるように、私の指先は伸びているだろうか、触れているだろうか、その縁に。
届く限りならば届くはずの指先にはなにも触れることがない、その指先をすこしだけ伸ばして、季節について語ることをせずに。
熱暑に晒された路面には冷たい影が這う、そんな風に私の指先は伸びているだろうか。
知らないきみには、たくさんの恋をした、知っているきみには、たくさんの愛を感じた、だから指先に触れてください。
車に轢かれて千切れ干からびた、正体の知れぬ動物たちの切れ端のように、指先に触れてください。
彼らが生きていたころの記憶、記録のありかのように、私の指先に触れてください。
きみの熱を覚えているだろう私の指先に触れてください。
寒さのなかで滴る汗を拭い、暑さのなかで凍える身体を抱いた、私の指先を知りませんか。
もう、そこまでですべてが終わる、私の指先を知りませんか。
だれもいない、そこまでなら伸びているだろう、私の指先に触れてください。
陽の光を追い続けているか、それだけを書いた手紙を送ってください。
封筒に入れ忘れたまま置き去りにされた手紙を、私のうえに、そっと置いてください。
2015-07-23 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

Long Say GoodBye

さようなら、そういえたなら、どれだけ安堵するだろう
合歓の木のうえに降り注ぐのは、どの季節?
今は夏、夏の手前、手前の少し前、多分
さようなら、そういえたなら、どれだけ幸福だろうかと考える季節
寒い季節なら、私を探すのなら、詩のなかに探しておくれ
そんなことをいいたくなる季節もあるかもしれない
今は夏、入道雲はまだ見ていない、激しい雨を見た
本当は激しい雨音だけを聴いていただけだった
さようなら、そういえたなら、どれだけ悲しめただろうか
きみの立つプラット・フォームを想い出し、
あるいは、そこにも激しい風雨が訪れていて
きみはずぶ濡れのまま何かを、もしかしたらだれかを待っている
さようなら、そういえるまでの、あまりに遠い距離を
近すぎる距離で消してしまうことができるだろうか
ろうそくの火が灯る部屋のなかでは影が揺れる
遠くまで歩いてゆく影が揺れている
陽だまりのなかを想いだしながら、きみが待つ
さようなら、そういったあとのきみを待つ空となり
どんな顔で応えようかと、少し悩んで星を散らす
さようなら、さようなら、
きみとの時間だけが遠ざかる、さようなら
2015-07-22 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

取り戻しから逃れるもの

もし、まだ私に涙が残っていたとして、
-そうであると信じたいが-
なにに涙を流せばよいだろうか、
そう訊いたとしたら、きみは笑うだろうか

疲れきった季節が漂着する海岸で
いく時間か、あるいはいく日か
もしかしたら語りあったように
きみは私の問いに笑うだろうか

孤島が見える丘の上から
孤島までを吹く風のように笑うきみの
遠い恋までの長旅を
遠い、遠い、うんと遠い-
そう笑ったように

変わることのない季節のなかで腐乱する
あの、いくつかの想い出を入れ替えながら
私の涙を探して欲しい
あまりにも疲れきってしまった、
あの私の涙を探して欲しい

時間がないから、きみがいないから
今の私には、ほんの少し
気のせいばかりの涙が必要だ
2015-07-21 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

方角を失うときについて

鳴き声だけで飛ぶ鳥の飛跡をたどる星の運行を調べていた。愛するだけで眠る鳥の傍らには胆から吐き出したらしい砂が流砂のように時間を泳いでいるだろう。自由に似た横顔できみを通り過ぎる街角に立つ時間を待ちながら風が吹かない季節を数えているのだ。
生物の時間など数える人間などがいるのかと少し驚きながら、数じゃないだろうと想ったが数だった。腐ったようなにおいだけがする数を追うと、どこかでにおいが途切れるらしい、確かにそれなら数だろう。
私は星の運行を調べるようにきみを調べたはずだ、きみの真似をして、まるできみのように、きみになって星の運行を調べたのだから。
鳥が飛んでいるわ、そうきみが言ったらしいことは記録にも残っていた。しかし、その記録は飛びもしないし鳴きもしなかったので私には分からない、あくまで噂だそうだ、そう伝えておく。
なぜ北極が北極なのか、南極ペンギンのように考えていると運行するように動かない星を見つけるのだ。寒気のなかには知識がある。北のなかには哀しさがある。
知識のなかにはなにもないが、哀しみのなかにはなにもないが。
朝方になると消えるきみのように、最後の鳥が最後の鳴き声を解き放つとき、星はすべての役目を終えて消える。私の瞳も消える。
方角を失って、すべてが消える、それが愛だ。

初出:BlogSpot(20150710)
2015-07-20 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

愛の生成する日々、花を眠るように告げること

壊れていないものを壊れているというように、愛していないものに愛していると告げた。

壊れたままの時計の時間に沿って朝の準備を整え、朝食をとり、満員電車に揺られて仕事をした。昼休みは仕事場近くのテトラポットの上で雨に降られながらコンビニのおにぎりを食べ、二度目の仕事をすると夕暮れないままの夕方を帰った。猫だけが待つ部屋には時計の音が鳴っている、進むに進めない秒針が行ったり来たりをくり返し、それ以上にくり返されるべき日々を追いかけている。

アルコールのない夜をアルコール代わりになるすべてのもので満たして、満たしきれない夜を眠ろうとした。満たしきれない夜だけが残り、満たしきれない夜しかなかった。きみが消えた夜を想い出しながら開け放たれるドアの音を真似て鳴く猫のように眠った。

夢のなかでは進みすぎる時計を追いかけていた。遡行し続ける時計を追う川も渉った。きみの痕跡をあさり続ける犬となって足跡の残らない砂浜を歩き続けた。忘れられない夢にするように夢のなかでだけ目覚めて夢の外で眠った。

愛しているものには愛していないと告げた、壊れているものを壊れていないというように。
愛しているものには、ただ愛していないとだけ告げるだけで愛せた。

初出:BlogSpot(20150710)
2015-07-19 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

それ以外

今日は雨、雨音については書くまいと想った。雨、雨音以外のことをすべて書こうと想った(それらの可能性として)。雨は雨以外のすべてだし、雨音は雨音以外のすべてだし、そういうことで良いじゃないか、そういう投げやりな日だったからだ。
雨について語るひとは雨以外について語るひとだが、雨の中心は雨音を聴く。雨音について語るひとは雨音以外について語るひとだが、雨音の中心は雨に濡れる。そういうことでもあるかもしれない。
「冷たいのは雨ではなくてきみだ」
そう伝えたい女性がいたが、雨の日に逢ったのを最後に忘れてしまった、そういう想い出をひとつは持っているべきだった。持っていない想い出は作れば良い。人生は忘れられた想い出だけが生きている。
きみの街には雨が降っているだろうか、それ以外に困ったことはないだろうか。
「雨が降っていること以外、困ったことばかりだわ」
そういうきみと雨を見たこともなければ雨音を聴いたこともない、私たちには出逢うことがないし出逢いがない。雨音が降るように雨が聴こえているのならば、だが。つまり、それが雨について、雨音について書かないことだった。

初出:Tumblr(03/07/2015)
2015-07-18 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

風見鶏の瞳を風は知らない

ゆっくりと回る風見鶏に風は吹いていない。
ただ柔らかな陽射しが絶えることなく指しているひとつの方向、
転変する、定まらない、永遠を…ひとつの方向がある。
風が吹くとカラカラと回る風車の音が乾いてゆくが、
風見鶏は風車の音とは無関係に陽射しを追っている。

階段の縁が磨耗した歳月を語っているように、
きみの髪をすく指に絡まる感触が歳月を示すだろう、
もし、きみが手の届く場所にいれば、だが。

あまりに寒さだけが満ちた夜、
季節は遠ざかり、無数の季節が代わる代わる訪れ、
近づくことと遠ざかることは同じだと告げてゆく。
ここで「遠ざかることと近づくこととは」と書かないのは、
せめてもの矜持だということも書き添えておいたほうが良いだろうか。

さて遠ざかるように近づいてくるものの代表として痛みを語ろう。
きみの不在により感知される、あの痛みについてだ。
宮沢賢治なら水晶やきれいな結晶の形をした様々な、
そう、様々な結晶の先端の鋭利が全身を隈なくつつき続ける痛み、
血は流れても流れなくても良いだろう、
死ぬことさえ許されない範囲であれば、どちらでも同じことだ。

時間というものは結晶に似ている。
本来なら崩壊してゆくのではないのか、そうも想うけれど、
さて結晶の物理的結末はどうなるのだろうか。
その結末を知る前にきみに再会することもあるかもしれない。
痛い、痛いよ、そう、痛いのだ-

だれひとり聴くひとがいない夜などには、そうも呟いている。
きみがいない、きみがいない、と
そんなときに想い出す、あの風見鶏、
あの風見鶏の気持ちが分かるような気がするのだ。

風と柔らかな陽射しとを見比べて、
見比べても選ぶ力さえないままに
風に従うままに、風に無関係に陽射しを追う、
あの風見鶏の気持ちが分かるような気がするのだ。

吹く風に舞うしかないとしても
光しか追えない、この瞳は。
もう痛みしか知らない、この瞳は。

初出:BlogSpot(20150628)
2015-07-17 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

夏、愛と生命について

夏に降る雪の行方を訊ねたい、ただそれだけで夏を終える雨が降る。

雨の風をきみが指先まで大きく広げた手のひらで冷たがりながら魚のように飛び跳ねる。穏やかに崖に到達してクルリと跳ね返る波のように飛び跳ねる。
いくつかの季節をスルスルとすり抜けてゆくように、きみが歩く構内の歩道、いくつもの世界を構築しながら破壊してゆくように、きみが渡る構内の歩道橋、きみの支配を噴水は受け止めたか。

噴水の周囲を巡る夜の虹のなかでだけ、きみは告白をするのだとノートに書いていた。曇天を写す透明な人工池に仰向けに浮かんだノートに。残酷な管理人は古びた熊手を面倒臭げにノートに放り投げ、しかし引っ掛けることさえできず、ノートは沈んでゆく。

ざぶざぶざぶ…
管理人がノートを取り上げて排水口の方角を見つめてため息を吐く、指でつまんだまま。

さぶさぶさぶ…
重たげな音ひとつでゴミ箱に収まるきみのノートは別のページを開こうとして開けない。

夏を大きく仰ぎながら雨が降る。
きみの探した夏の雪が遠くを降りながら私たちから距離を奪ってゆく。

深海には季節のない雪が降り続けている。

(生命、という言葉が意味をなさない場所を探さなくてはならない。
 雪の降るところには生命が宿るから)

きみの雪が夏に降る、夏に降る雪のなかで私が眠る、
私たちの薄い夏が膜となって私たちは私たちとして愛し合える。

私たちの愛は季節でできている、
私たちの愛には生命が宿らない。

初出:BlogSpot(夏、愛と生命について)
2015-07-16 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

街の川、斃れたきみ、街角について、など

雨が降り始めると街角を想い出しながら街の内側、外側を知らずに歩き始める記憶、記憶が歩き始める。
なにものも記録することを知らない記憶が街と無関係に街角を想い出しながら雨を歩き始める。静かな音楽を邪魔するほどではない雨音とともに流れ出すように。

きみが乾いた路面に斃れたことを立ち止まりのなかで忘れながら乾いた血の痕を、黒々と夕暮れだけを知る血の痕を見つける。
私の代わりにきみが斃れたのだったら、どれほど感動したことだろう。
その血痕を路面から剥がし、今すぐにでも抱きしめながら泣いただろうに、きみが斃れたのは私とは無関係なことだった。

-遠くから訪れる雨と近場から去ってゆく雨が出逢うのね

雨の雫で見えない表を指差すように鼻を向けた女が本を落としながら言う。
コーヒーの湯気が女を消すまでの間、そのことばを言い終えるのに十分な間。
そうしている間に汚濁した渦を巻く都会の排水路には「川」と名がつけられている。

その知性を愛しながら、むしろ雨に打たれることを祈り傘を折った。
街角に消えてゆく後姿だけで知る知性を愛していたに違いなかった。
街のなかには、いつでもだれもいない、それが「街」だからだ。
街は記録する、街角を使って、ひとつひとつの街角にひとつひとつの街の記録。

そうして街角は記憶を喪ったまま雨により想い出を与えられるのだ。
街の記憶を喪った街角が、そうして雨が降り始めると歩き始めるのには理由があるのだ。
音楽を止めよ、会話を止めよ、女を黙らせよ、街角が歩いている。
街中を、街の外を知らずに街の記憶を持たずに街の記録を保っている街角が歩いている。
音楽を止めよ、会話を止めよ、女を黙らせよ、街角が歩いている。

初出:BlogSpot(20150626)
2015-07-15 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

家々の間で生起する、ほんの少しのこと

家々のあいだの冷たい隙間を通り抜けると知らない舗装道にでる。
そこで、もう逃げられない気分になる。
そこがすべての終点であったような気分になる。
どこにでも繋がっている終点のような気分になる。
ふさがれた空、どこにでも行ける舗装道、だれも通ることがない道。
人影を忘れたように映すことがない道。

夕暮れの猫が何事もなかったように塀上をしなやかに歩いてゆく。
それを見送るだけで<自由に斃れる>ことができた。
兵士は、いつ兵士であることを知るのか、それは斃れるときだ。
斃れながら<一兵士>でしかなかったことを知る。
空は空でしかないが、空以外の何ものでもあり得た。
斃れる兵士は、ただ斃れるだけの<一兵士>以外のなにものにもなり得ない。

家々を通りすぎて夜が訪れる。
あの猫も巣に戻る夜が訪れる。
舗装道からの戻り道は見つからない。
猫を追う夜を見つめながら、
進む道を戻る道としてとぼとぼと歩くしかない。
夜は嫌いな時間だった。

初出:BlogSpot(20150625)
2015-07-14 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

過去メモ~200150706~20150712分転記

適当&ランダムに(一部改変)

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2015-07-13 00:00 : メモ帳 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

笑い(声)だけが響く季節のように、きみを探した

きみへの愛を感じるたびに、きみへの愛を喪っていった。

そのことを感じながら夜風に吹かれていた。海から遠く離れた小さな部屋のなかで海から吹く夜風に吹かれていた。
もう、きみを想い出そうとすることはないだろう。そうして想い出すのだ、伏流水が夾雑物を喪いながら清らかを装う湧水として静かに湧き出るように。

街灯と街灯との間に夜は住まう。
そのことを知るまでに、幾晩かはきみと過ごしたはずだった。
もう少しだけ正確には夜を歩いたはずだった。

街灯と街灯との間でだけ指を絡め、息を熱くしたが街灯の間隔は短過ぎて指が絡むことはなかったし、息の熱さを感じる距離にまで近づくこともなかった。
そうして正確な夜を歩いたはずだった。

ぼくたちの取り戻そうとした季節がやってくる。
いつでも取り戻そうとした季節がやってくる。
そうして取りこぼしている間に取り戻す季節ばかりが増えてゆき、きみは笑う。
泣き方を覚えることをしなかったきみは笑う。
ぼくも笑う。

ぼくたちは無数の季節を前に、ただ、笑う。

初出:BlogSpot(20150625)
2015-07-13 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

きっと、想い出さないために想い出す雨音

枯れなおしだけを繰り返す枯れ木の群れを通りすぎると、白紙の本を手にしたきみに出逢う。

微笑を白紙に落としながら陽を遠ざけて泣いているきみと出逢う。その不思議を感じることができないまま、隣席の空いているベンチを探すが、きみは座っていてベンチにはいないのでひとり、ベンチに腰を下ろした。

空は青く広がっている、そう言いはじめて「べき」と「だろう」の間で決めかねて言葉を噤んだ。その後もきみの微笑が次いだが、どちらと決める、そういうものではなかった。私との間にも微笑を置こうとして戸惑いながら本から目をそらすと涙が幾筋か流れたのが見えた。

想い出といえば、それがすべての想い出なのだろう、講義をするような口調が響くところを喪って私の記憶を少しだけ巡って消えた。時間にそぐわない空の色を眺めるときには並べた肩の上には、きみの色の空が浮かんでいる、そう想いたかったので見ることはなかった。

上手く枯れることができない木立が一斉に、最後の枯れゆきを見せているなか、きみは立ち上がり、一本一本と枯れ具合を確かめながら枝を折り、手にまとめて微笑を絶やすことがない。
「想い出が満ちると枯れるか真っ白になるかしかないのよ」
枯れ木の束を本に変えながら戻ってくるきみが私の膝の上に本を置いて立ち去った。

暮れ空から遠ざかろうと喘いでいる空の下でなら、すぐにきみを見失い、想い出のなさに安心を覚えた。
きみがだれだったのか、いつもの通り私は知らないし、分からない。
「また、明日」
繰り返される明日を今日に布置するだけで私たちは出逢うことなく出逢った。
「さようなら、いつかね」
きみの声を、まだ青い空に置きながら、きみが拾いすぎたと苦笑いした雨音を想い出そうとしていた。

初出:BlogSpot(20150624)
2015-07-12 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

雨だと知った日、雨の止んだ夜には

今日を今日とする基準が見つからないまま今日が終わるのを見つめていた。

聡明な少女が追い越そうとした風を見つけた後、影を避けて降る雨に打たれながら雨音だけを記憶した。そんな風に覚えている限りの今日は、昨日にはならないまま消えてしまうだろう。

きみの声を想い出すほどに鮮明な意識を保っていられない。
それを辛いとは言いたくはないので、きみとは出逢ったことがないことにしたし、出逢うための別れさえ用意して、いつか出逢うのだと刻む石を探すと夕暮れは遠かったのだ。

雨粒のなかから始まった時間がどこに消えたのか。
その意味を問いたいのか、知りたいのか、聞きたいのか、そう考えればどうでもいい。
ただ、もし、きみの声でなにかが呟かれるのなら、それを聴いてはみたいだけだ。

意味のない問いに意味のない答えを、きみの声で、それで十分だった今を過去にして明日は抱いて過ごしたい。
そんな風に希望を持って過ごした昨日を、ふと想い出しかけると今日は終わるだろう。

ああ、逢いたいひとがいることは幸いかよ
ああ、逢いたいひとがいることは哀しみかよ

ぼくの耳のなかで聴こえない反響を繰り返すきみの声
記憶からは消えたまま想い出をかすめてぼくが歩き出すきみの声

雨の止んだ夜には、もう今日がない、雨の止んだ夜には明日がない、昨日もない。
雨の止んだ夜には、もう、なんの機能もない。

初出:BlogSpot(20150623)
2015-07-11 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

別れが彼を経て夜空に連なるわけではなくて

別れた後ろで押し寄せてくる波のように季節が追いかけてくる坂の下通りを歩く彼は猫の歩幅と静けさを保っている。彼が、この直前になにをしたか、なにが起きたのか、同じ季節だけを枯れ続けている枝に揺れが訪れると問うのを待ちはじめていた。

その手に鋭利なナイフを持たせるのは哀しみに寄りすぎているし、手紙を持たせるのは寂しさに寄りすぎているだろう、実際のところ彼はなにも持ってはいないし持つことができない。追いかけていたボールを忘れてボウと立ちつくす犬が一匹、その足元を見つめているようにうなだれているだけで十分だった。

季節を離れれば空は明るいままで、つまり夜までの時間を持っている空だった。
どこまでも辿っていけるのならば海にも山にも、どこにでも降り立てる空だった。
彼を見捨てたまま鳥たちだけに優しい抱擁を与えようとしている空だった。

一陣の渡り鳥が過ぎれば空は連なりを喪って夜へと流れ込んでゆく。夜月が煌々と輝き始め、星がひとつを飛び越えて無限の数を展開しようとしていた。
流れ星が登場すると、そのまま彼の頬を掠める涙となったろうに、その夜には流れ星は流れなかった。ただ彼が沿い歩く川が夜の面を滑らかに光らせて彼を待っているだけだった。

一枚の通知をポケットから取り出すと街灯がそれを照らし、哀しげな宴を電線伝いに遠方まで告げ広めた。彼はひとりきりだったが、彼のことはだれもが知っていた。だれもが知っている彼だったが、だれもが沈黙だけを彼に手渡していた。沈黙だけを受け取りながら、彼は泣きはじめようとしていた。泣き始めようとしながら彼は、そのまま乾いた砂となって崩れて消えた。

彼の女については、なにも語ることはない。
彼が別れたのが女だったのかも、なにも語ることがない。
別れが彼を語るときも永遠に訪れることがない。
彼と別れと永遠とは、すべて無関係に夜空にぶら下がったままでいるだけだ。

いつでも夜空は、無関係なものたちが無数にぶら下がったままでいる。
ただ、それだけのことでしかなかった。

初出:BlogSpot(20150622)
2015-07-10 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

彼が想い出す季節に想い出せない

遠くまで降ってゆく雨を見送りながら彼は斜めに浮いたように留まっている、語ろうとし始めた恋は始まってもいなかった。
そのまま窓なかに戻ってゆくと彼を追いかけてきた冷たいだけの風が彼を打った。雨は彼をおいて、とっくに視線の届かない異国にまで消え去ってしまった。
雪の季節、彼が恋を愛し始めた季節、淡い地熱だけで雪が融け、大地が空に馴染んでゆく季節、彼は色々な人から忘れられた。
恋について思案する彼は存在を放棄したかのようだった。
冷たい星が通りすぎ、彼を心配そうに見つめる、そんな雰囲気を想い出す。
今は梅雨、冷たい雨よりも冷たく雨が降り、そんな彼のことを想い出すひとも蘇るかもしれない季節。
私は彼のことを想い出すことができない。

初出:BlogSpot(20150621)
2015-07-09 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

水溜りでだけ可能な恋の近辺で

きみと恋をするはずだった街角を通り過ぎながら恋人となった仔猫とすれ違うと青い空を落としたような水溜りに出逢いながら忘却のなかにきみが消えてゆく。

それからゆっくりと流れてメロディーを喪ってゆく歌曲が歌い手を持つことを拒絶するのを森が一葉の枯葉を見送るように見送った。まるで来年の花火のように去年の花火を想い描いては今年の花火を見失うかのようだった。
ほんとうは詩について話す積りだった、たったひとつの改行だけで私たちはお互いを見失ってしまうのだった。

たぶん、きみを忘れるために書かれたのであろう手紙を火種にしながら点火装置を持たない爆弾を照らしていると、なにかを爆破しなければならなかった、そんな気にもなるが、なにを爆破したらば爆破の可能性は開けるのだろうと想うと憂鬱だけが飛び散るだけだった。
憂鬱は恋に近い位置にあるということは知っているだろう、しかし恋が憂鬱の近くにあるわけではない。人生の憂鬱に耐えるために恋が生まれた、そんな風に言ったほうが分かりやすいかもしれないね、そうとだけ言って笑っておこう。

荒れた木肌を撫でる風を想い出すと、それだけで、いつも海に出たような気持ちになる。
海岸には冷たい流氷と、激しい熱射、冷たさと熱さと間で右往左往する砂が延々たる集積を継続していて、そこに置かれる足のひとつひとつから逃れることすら忘れている。
そこまでたどり着いて、ようやくきみが少しの納得を見せる、水平線の向こうに消えようとする入道雲のようだ(しかし夏の入道雲ではない)。

きみが喪おうとする足跡だけを求めながら、私は私の足跡だけを辿り続けている。
それは過去のように見える未来でしかなかったのだが、それは紛れもなく正統な過去である。
きみの嫡子のように正しさだけで構築された過去である。

水溜りの場所に立ち返ると、すっかり仔猫は育っていて私は驚くことができない。
時間という存在のありようを知らないので驚けないのだ。
ただ、それが雨ならば拒絶しなければならない、そう想った。
もし、それが雨ならば、私は拒絶することしかできない、そう想う。
きみが、すべての雨を拒絶するように、拒絶の雨しか私は知りえない、そう想ったのだ。

初出:BlogSpot(20150620)
2015-07-08 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

なんて原始的な欲求

まず出発点として、たとえば[ 欲動⇒欲望⇒欲求 ]というシステムが潜在的にでも考えられているとしたら、それは抽象から具体・具象に向かう分析的遡行に過ぎない。

その上で私の理解し得るシステムは、こうだ。
現実的には個々、具体・具象的存在への欲求が絶対的に先行、現出し、それらら認識対象としての要に応じて欲望、欲動へと、いわばカテゴライズされるに過ぎない。むしろ一回性の稚拙で原始的な欲求こそが、全てに先立って現出する。

例えば「ある異性との性交への原始的欲求」は、そのままでは強姦という形でしか満たされることがない、つまり個人内的事象にとどまらざるを得ない。
それは<性交>という欲望(あるいは"性交への欲望")に分類、いわば翻訳されて始めて「合意」の可能性を獲得する。
それら欲望を(社会的に)分析した際に現出するのが<欲動>であるが、それは分析という行為の持つ性質に従って、あたかも罠のように機能し、分析そのものを捕捉してしまうのだ。

ときに事物は、そのような分析的意味に大きく逆らう。
私には、そう想えるし、そうとしか考えられない。

初出:Tumblr(06/07/2015)
2015-07-07 00:00 : 消去一葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

行方不明の曲がり角で

崖にぶつかっては穏やかに散る花びらのように私が散ってゆくのを見つめている、そこに私がいるだろうし、そこにきみはいないだろう。
-花びらが波のような存在だとして、くりかえし訪れるだろうか
私には分からないことなのだが私がいる以上、そのようなくりかえしもあるのかもしれないと論理は告げるだろうか、告げるだろう雨音に似た預言という形で。

いつでも季節のない街を探して国境さえ越えた、いつでもひとつ未満の季節しか持ち得ない街を探してきみから逃げる道を遠ざけようとしていた。
いつでも遠くから響くように見えるきみの<声>ひとつで破壊されつくすすべてに憐れみに似た愛情を降りかかる雪のように、風を舞いながら散る先を見失う雪のように。

鼓動よりも激しい脈動が鼻腔の奥で破裂をくりかえし、景色を深紅と呼びたい深い黒色に染めてゆく。
そこが花びらの散る始点だとして、私の代わりにきみがいるとして、私は居場所を喪ってしまう、居場所を喪って私は安らいでしまう、その安らぎをきみに赦されてしまうことを恐れてしまう。
やはり季節を喪うしかない、そう想えてくるし、そうとしか想えない早さで斃れてゆくことしかできない季節を見送っているのだ、いつも。

もし、それが遠い、遥かに遠い場所での出来事だったならば私達は、
-愛する
そんなことを軽く言い合うことが、伝え合うことができたかもしれない。
これは愛の定義を問う、あるいは不問にするという問題ではないし、愛など存在しようとしていまいと、同じことだった。
-愛している
それだけで私たちは愛を喪うことができる、そういう論理だけに支配されている、支えられているという<物語>の話だ。

つまり<声>と<物語>が接続しないこと、その不接触点では、ちょうど崖にぶつかっては…と話した<私>がいるだろうし、<きみ>はいないだろう、そういう話だった。
言葉を追いかけてはならない、それはなんら獲物としての機能を持ってはいないのだから。
獲物というものは追いかけられるべき存在すべてだとして、だが。
ほかに獲物を定義する方法を知っているだろうか。
より重要なことのように想われるのは、すべての私が言葉の獲物であって、獲物に与えられるだろう、もうひとつの定義があるように想われた、そういうことだった。獲物というものは逃げることを求める存在すべてである、というものだった。

歯車の、たったひとつが狂っているだけですべてが狂ってしまうように、
そんなに堅苦しいつくりを許してはならない。
複数の、無数の歯車が狂いながら、なんとなく、すべては上手くいっている、
そんな、つくりを目指さなくてはならない。

言葉の獲物になってはならない、もう一度、言葉を獲物にしなくてはならない。
-もう一度
そう想えるのならば、だが。
そう想えないのならばせめて、言葉の獲物になってはならない、
そうだろうきみよ、私という名を帯びてゆく、きみよ、最後にひとつ与えよう。
-私がきみを愛する以上に、かならずきみは私を愛さずにはいられない

そうして私たちは惜しむこともできない別れのすべてを手にして別れを経た。
まるで街灯のない曲がり角を通り過ぎる別れのように。
あまりに強い愛を手に、別れすら完全に近い、なんでもない曲がり角を過ぎたのだ。

初出:BlogSpot(20150620)
2015-07-07 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

X JAPANの魅力について聞かせていただけたら…(From Ask.fm)

特に最近は気づくとX(JAPAN)を聴いていることが多いが、私は決してX(JAPAN)の良いファンではない。むしろ私がファンだと言ったら、本当に彼らを好きなファンの方たちに失礼だろうとさえ想う。
「X(JAPAN)のバラッドを中心としたメジャーな数曲を好きなだけです」
そうとしか言えないと感じる。

パフォーマーとしての日本のロック・スターという括りで言えば、最大の先駆者のひとりはジュリー(沢田研二)だろうと想う。ビジュアルや挑発的なダンス(振り付け)、ライブ・パフォーマンス、コミカルな分野等への進出…ジュリーの業績は計り知れない。
マイナーからのメジャー・デビューという意味でならどうなのだろう、私の世代ではBOOWYがほとんど無名の田舎バンドから一躍スターダムに駆け上った。どれだけの泥臭いステップがあったかは知らないが… X(JAPAN)もタケシのお笑い番組から人目に触れるようになったという。
メロディアス、あるいはリズミカルな曲、詩…これに関しても優秀なバンドは数多挙げられるだろう。実際、今、最も過激で挑発的なロックらしさとでもいうものを持続的に感じさせられるのは、月並みなだがラッド(RADWIMPS)だったりする。
ドラマチックなバンドの変遷、歴史も同様に…

それでも私は X(JAPAN)の曲を聴くし聴いている。
まるでドラッグのように危険な香りさえ感じながら。

初出:Tumblr(20150706)
2015-07-06 00:00 : 消去一葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

泣くことが行方不明になりながら、それでも金色の季節に向かえ

私よりも私らしい頭蓋骨に血を塗っていると穏やかな日曜の陽が降り注ぐ。
乾くことしか知らない彼らを乾くままに、鉄の匂いが変わらないままに、静かで知らない曜日を教えてもらいながら覚えることがない。内臓を空にしたまま反響する音で話を続ける男とすれ違ったが、気づく様子もないままに彼は過ぎ去っていった。
「恋人がいただろう」
笑いながらだけ 訊く 声がするが恋人を知らないので、いたかもしれないしいなかったかもしれない、それだけだった、わかることは。
「恋人がいなかっただろう」
まじめに訊く 声がしたが恋人を知らないので、いなかったかもしれないし いたかもしれないし、それだけだった、わかることは。
「血の匂いは好きですか」
それが私の最初の問いで、今もくり返し続けているし未来も繰り返し続けている問いだった。きみよりもきみらしい頭蓋骨を見つけたので少し割ると貝に似ていたので想ったとおりだと想いながら耳をつけてみる。
「ほんとうに愛していたのよ」
必ず幻想としかならない音が幾重にも共鳴を繰り返している。
金色の季節、秋は、まだ少し遠い。
秋を知らずに金色に輝く小麦畑のなかでひとり、見えない地平線までを満たし続ける金色の小麦が静かに揺れるのを見ながら少しだけ泣いてみるという真似をしてみたが、うまくいかない。
確かめてくれるひとが見つからない。

初出:Tumblr(20150620)
2015-07-06 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

黒猫の歩みに似せて

無音を足音に変える夜の黒猫の歩みに似せてきみが微笑むと風音を無音に変えて暖炉の炎が煙突を突き抜ける。赤い星、青い星、白い星らが赤く染まろうとする月らめと共に燃え、太陽のない夜を永遠のものとした。

きみはしおりによってだけ保たれている本を読み続けているのか、その本の正体は、その本体は、しおり一枚で終わるというのに、白紙のノートを埋めるかのように、きみは読み続けているのか。哀しみよりも哀しいと花びらを散らした恋の底にとどまったまま。

きみが燃える。
一枚のしおりを手にして、きみが燃える、夜が燃える、月が燃え尽きるように星が消える夜空の焼熱が煙突を突き上げる。
赤と黒だけにすべてを変えて、
きみの夜が黒猫の歩みに似せて燃えてみせる。

初出:Tumblr(20150619)
2015-07-05 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

活用する眠りの変化論

ひとりになれないものらを従えて冷たい道を歩いている
ことばを拾いながら周遊する湖は閉じることがない
駆け足だけが許される階段で死んだようにうずくまり
沈黙を守る男の見つめる海を染めておこう
どの色で、どれだけの色で、ただひとつの相応しい色だけで

美しさだけで生きている蝋像を熱砂が降ると
私たちは砂のひと粒ひと粒の美しさに見とれたまま
足元に流れる蝋により固められ
ついに湖の閉じる地点を見出すことになる
ああ、青い曇天を見上げながら私は言う
眠りはどこに忘れたか、そのことを忘れてしまった、と

note.mu(20150617)
2015-07-04 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

やはり、波が訪れる

忘れるのに必要な距離も時間もなかった私たちは
いつでもそこにいたし、そこにはいなかったから
忘れるのに必要な距離も時間もなかった

きみが一言も発することさえなければ
きみを知る私もいないで済んだ、それだけだった
ひとつの言葉が置かれ、もうひとつの言葉を置き
その単調なくり返しが私たちを形作っていった、
ただ、それだけのことだった

横顔さえ知らないままに私たちは空を持ち、
大地を持ち、海さえ所有し始める
そんな哀しい営みをこどものようにくり返し
飽くことの大事に気づいて私たちは呆然とする
忘れることの大事に気づいて私たちは慄然とする

飽いて、忘れることだけが大切なことで
私たちに最も必要なこととして遺された
まず私たちは私たちを棄てた
棄てたはずの私たちは永遠を得たように笑う

すこし哀しい恋の壊れる音だけを残して
遺された私だけが砂に埋もれるように波に打たれている

note.mu(20150617)
2015-07-03 00:00 : カイエ、詩 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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想一葉、兼訪問帳

星々の冷却(書肆侃侃房)
渓谷0年(オンライン版)
Both by mさん

【 無意味という意味 】
すこしの風を追いかけて
【 短文 】
大海にも降る一滴
2015.07.17.

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