すべて同じ星

とりあえず、知らない道をひとりで歩くように、
川が流れるのを待ちながら待ちぼうけも一緒に待った
待ちぼうけは待たれるのを好むのである
その星が光るとき、ほかの星は光を失うが、
その星もほかの星もすべて同じ星であるのは
あまりにも大雑把な哀しみに慣れてしまったからだ
そう言いながら駅舎を掃除するランプ
「最近のランプは点灯することを知らないわねぇ」
初老の夫人が上品にため息を残す方法を孫に教えていた
お決まりのゲーム機など持ったことがない手、
その手は夫人のもの、夫人だけのものなのだった
「さあ、明日はどこに行きましょうか?」
孫のようにみえた犬がささやきながら
線路と線路の間に滑りこんでいった
2017-05-31 00:00 : Zero Areas Ⅱ/0 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

声の形で焼けて

ことばに変え、記す
ただ、それだけのことに
どれほどの困難さを与えるのか

苦しむために呼びかけたのではないだろうに
苦しさは決して届かない
そう告げて去れなかったひとを想いだす

いつまでも喉は、
いつでも焼けるように熱い
2017-05-31 00:00 : Zero Areas Ⅱ/0 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

愛されすぎた翼のように

ヒカリを渡り、忘れると虹を見た、
希望という名前を付けられた廃駅のちかく、
廃駅といえば例の畜産場からでる、
あの廃液の問題は解決しただろうか
詩人の影のように垂れ流しにされて
それを問題だと大声をあげてひとは覚えていない
最初のひとは忘れられるひとだったから

林をこえてゆこうよ
そういいながら進む、きみの道は灌木しか知らない
茨の道なんてものは私たちにはねぇ、
とても似合うものではないしねぇ
そう、ふと笑う気味悪さだけで友だちになった、
それが最後の時間を示す割れた石、
組み合わされても欠けたままの割れた石
そしてヒカリを渡り忘れると、虹を見たんだ
2017-05-30 00:00 : Zero Areas Ⅱ/0 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

きみよ斃れよ、痛みに耐えて

川を想いだすを、きみに与えよう
そう告げる声を耳鳴りのように眺めていた
それは石に刻まれた顔のように美しい死に顔だ
河原に似て、ここには空がある
鳥の飛ぶことが許されない空が
「鳥は空の窓だったんだよ」
父が、そう教えてくれた季節は窓のなかに消えていった
窓のなかに季節は消え、
どこから訪れるのかを教えない
けっして歩いてはいけない舗道を敷きつめる
それは死の臭い
穏やかな午後の休みの臭い
振りかえればだれもいない、
振りかえればなにもない、
歩くものを失いながら生きのこってきた道
道におちてきた空を踏みながら歩く音
かがんだ腰に感じる鈍い痛み
斃れることを許さない激しい痛み
2017-05-29 00:00 : Zero Areas Ⅱ/0 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

鳥たちの弔歌に、それは似て

特に珍しいということもない日曜日、
子どもがひとり、そして、ふたり、さんにん、
いくにんでもいいが、
素知らぬかおをしたすべてに見守られながら死んだ

その骸を、だれかが臭いといった、
あまりに当たり前なので、別のだれかも臭いといった
無数の子どもたちの骸の悪臭が漂い始めた

さて、人類の始まりとはそんなものだった
霊廟の上に霊廟を築き上げ、
永遠の私を神にささげるように死を恐れた
くり返し、くり返し、子どもたちを殺戮し続け、
その悪臭に悶えながら死を恐れた
人類の始まりとはそんなものだった

狂気という海を眺めながらベンチに横たわり
わたしたちは涙を忘れようと時間をまった
愛していると、その告白を受け容れてくれる時間を待った

遠い島、近い島、
半島のように断ち切られた島々、
すべてが島で、それは壊れた島だった
殺戮された子どもたちだった

鳥を覚えているだろうか?
鳥は越冬するために半島をめぐる
島をめぐる
子供たちの骸をついばんで死ぬ
2017-05-28 00:00 : Zero Areas Ⅱ/0 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

忘れたままに忘れてゆく忘却

冷たくしても変わらない愛を抱きしめるように、その頸を探した。
閉じられたままの瞼だけが知っている、その頸を指先は探しあてられない。

(絶望だなんて陳腐なことばは、もう捨てよう、
 確か、そうなんども誓ったはずだが…)

愛したひとの歩いた夕暮れを踏むように目ざめを忘れたまま、
雨のように降りやんでしまう一日を過ごす。
それが、休日とよばれる一日だった。

一歩だなんて大げさな、そう想う。
足指が探るのは手に掬うこともできない砂のようななにか。
そのなにかを探るだけ、それはかなしい。

遠くからだけ愛していると告げていた、
背中をこちらに、あちらに向けて告げていたあのひとを想いだす。

わたしを痺れさせては消える麻薬のように、あなたを探す、
かなしいんだ、かなしいんだ、
ただ、かなしいんだ、それが良い。

そうだ、わたしは怒りに燃え尽きていた。
2017-05-27 00:00 : Zero Areas Ⅱ/0 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

覚えられてしまった約束を覚えているか

語ることには飽いたままでいることができない、
そのかなしさがつき動かす風のようだね、まるで。

まず、季節から語りはじめるように太陽を遠ざけてからはじめよう、
それがわたしたちのルールのひとつとなるだろうから。

さぁ、あぁ、あ、あぁ、、、
それでいい、それで良い、

歩き始めるのだ、いつも歩き始めるのだ、

私たちは、ただ、歩き始めているだけなのだ。
2017-05-26 00:00 : Zero Areas Ⅱ/0 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :

許すことを許さず、許さないことを許す

「そうだ地獄にゆこう、いや、むしろ地獄になろう」
そのアイデアは、ぼくをとても愉快にした、幸福にさえしたのだ
その地獄にはだれもいれることを許さない
どんな罪びとだろうと、その地獄に堕ちることなんてあり得ない
そして、すべての地獄は、ぼくの地獄に従属する
そう、すべての地獄は、ぼくの地獄に逆らうことはできない
ぼくは地獄を独占する、灼熱地獄も酷寒地獄も
ゼロで始まりゼロで終わるだけで、ぼくは地獄に堕ちた
ぼくは地獄になった
2017-05-23 00:00 : Zero Areas Ⅱ/0 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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【 無意味という意味 】
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2015.07.17.

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