残照の内に向かう時の過ぎる中


終わることを知らない夏の後ろ姿を見送りながら吐く星の溜息が
終わり朽ちてゆく忘却の中でだけ成就する愛とが重なる時
古い時代の小石を重しにされ飛べないままの、その一葉に緑は宿り始め
風の吹き忘れた丘の上に墜ちる星屑と共に光り始めよう
遠い大地を覆う光に宿る偽りの愛の営みに始まりと終わりを与えよう

いくつかの物語、その欠片は誰彼の掌の中で囁かれ続け
届くはずのない耳朶を甘噛みしながら時計の音に耳を澄ませているが
過ぎる車窓と車窓とを跨ぐ架空の夕陽の鋭さに切り裂かれては散り散りと消え
その儚さ故に、また拾うものも訪れるというものだ

ぼんやりとした光輪の中では、いくつかは知っている顔が
多くは知らない顔がひしめき、テラスを行き来し続ける足音は冷たく
直ぐに手の届く遥かな遠方に遠ざかりながら笑い声を連れ去るが
残された温もりは手すりの全てとなって
いくつもの影達が、ただ、その背を預け、哀しみを預け、預け
あの射抜くような野生の瞳に恥じらい俯いてはすすり泣いている

記憶の遠さが誘い連れ来る物語をページに書き記しては暖炉にくべ
幾度も忘れられた拒絶が引き裂かれる叫びと嘆きと
ただ白いままに燃やされてゆく無数のページとペン先の渇きと
輪郭だけを薔薇に託したイミテーションと贈り損われた一瞬と

残照の内を、ただ忘れられたままに満月は昇り始め
宿るべき瞳を探しては夜を彷徨い続けるのだろうけれど
森の静けさの中にだけ燃える、その瞳には暗闇だけが宿り
失われ続けた星の残骸も時折の気紛れには微かな救済を恋い焦がれながら
ただ過ぎる全ての中で捨て去られるのを待つだけでしかないのだ
2013-08-26 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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