九月の空を行く

想い出せない八月を抱えたまま九月が重なってゆく
次の月に想い馳せられないまま九月の日々が重なってゆく

地図に重ねられた月めくりのカレンダーは今年のものではなく
今年ではない今日を指差せば辿り着けない場所を示す

歩くスピードを合わせるものを見出せないまま
立ち止まったまま見上げる空だけが明るく流れ
雲の行先に視線だけが遠のいてゆく

知らない面影だけが記憶の底から蘇り
夢であろう現の中で手を握り、その温もりに縋り
もう一度、忘れてゆく、そのことだけを覚えている

車は、もう走ることがない長い道を
人が、もう通ることがない長い道を
ただ独りで歩きながら満月の夜を探し
あまりに明るく照る道に目眩を覚え
少しの肌寒さで九月を想い出している

地図には記されているのに、ない、その海を
どこまでも広がっているだろう、その海を
波浪だけが広がり続ける、その海を
想い描くだけの岬さえ与えられることはない

決して残酷なわけではない
ただ、それが九月であるというだけのことで
流れる涙が止まらないことがあるというだけのことで

いくら探しても見つからない月を求めて
流れる星の尽きる場所には愛がある
流れる星の始まる場所には物語がある
流れる夜空は、もう、少し耐え切れない寒さを湛えている
2013-09-19 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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