私たちの抱擁を残照とする世界の少し遠くで



偽りだけが抱けるのよとつぶやいたあなたのくちびるが乾きゆき
恋人たちが交わす歌の旋律を交えた溜息が明ける空を求め始め
二歩で渡れる道の反対側の壁が白い闇に包まれることを拒否し
川の流音が聞こえるはずの橋の上から飛び降りようとする何かが壊れ
遠いだけで消える世界の始まりが世界を作り始めると
私が抱くはずだった温もりが消えるだけで世界の始まりが壊れ
鳴り止まない音楽を止めるスイッチが見つからずにすすり泣きが響き
決して一つにはならない愛がゼロになるまで時間を止め
まだ早い時間だと知りながら待つ夜の訪れが遠くに過ぎ去り
ただ一つのスイッチでしかない私が訪れるはずの遠くが消え
もう一つのスイッチでしかないあなたが訪れるはずの近くが消え
私たちがいない世界だけの残る世界が静かに回り始めるのを知らないまま
疲弊した顔を映し疲れた鏡が苦笑いを繰り返しながら知らない遠くを示し
示されなかった世界の全てが私たちの知らない私たちを抱いて離さなかった


2014-05-16 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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