夏の序景

月の穿つ深さと波の刻む時の間に私たちの時間は陥っている
このペンと紙との間に無意味化し続ける記号が羅列してゆくように

その、昨日として生きた今日の重さに耐えられないまま私は見知らぬバスに背を向け
遠ざかってゆくであろう貴方の背を想い出す

車というのは不思議な乗り物だ
赤信号では進もうとし、青信号では止まろうとし
進もうとして止まり、止まろうとして進むのだ
貴方は止まるために進むもの、それをバスと呼んでいた
進むために止まるものはバスではないと

こうしてバスの停車場を眺めていると確かにバスはなく
貴方の面影だけが漂っている

影を踏みながら横切る犬と影に押されながら横切る老人が交差する
石陰に潜む悪意は誰にも向かわず、拾われもしないまま朽ちてゆく
錆びたレール上を軋音が過ぎ、カーブを越えて街に出る
夏空の青さには、やはりビルが浮かんでいる
2014-05-21 00:00 : 想葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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