雨の降る分だけ愛し合う

そっと夕焼けが掛かるように
その肩を覆うようにまわした手は置きどころを失い
肩の脆さの分だけ脆い愛を知った
同じ方向は、同じ場所ではなかった
同じ場所が、同じ方向にはないのと同じように

疲労感だけで愛し合う男女のまどろみに
鮮やかな小鳥の鳴き声が突き刺さっている
全ての花がバラに変り棘を持っているかのような朝の訪れに
歩くにも足の置き所のないフロアは割れたガラスに満ちている
結局、ベッドの上で二人、横たわるしかないのだ

狭い分だけ世界が広がるなんてことも考えたことがあったろう
広い分だけ世界はちっぽけなんだと考えたことがあったろう
狭い以上に世界は窮屈で、広い以上に世界は果てしなく

時が、短い以上に無に等しく
時が、永い以上に永遠に等しく

夜更けの足音は誰を探していたものだったか
詮索しては笑い合っていた夜は遠く
月を仰ぎながら星を数えた夜空は遠く

車の甲高いブレーキ音の後に響く救急車のサイレン
それを聞くことなく二つの方向に向かった影
影を追い掛けることなく砂場に潜り込んだ記憶達
まぜこぜにされながら幼児たちの戯れに消え

新しい夕焼けに染まるベンチには
新しい影が一つ、二つ
乗り手を失った三輪車は砂場に半分埋もれ
微かな雨の匂いだけで人々は愛し合うことが出来た
2014-06-04 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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