恋人たちの未来の神話

微かな救済さえもが死に絶え
溜息のような祈りも費えた世界
それでも恋人たちは慰撫し合うのだ

互いの吐息も届かぬ距離で
互いの記憶も失ったままで
互いの死も知らぬ時間の中で

恋人たちは春を知らない
萌えいずる若葉に囲まれ抱擁し合ったことを
(教会の鐘は過去に遡ることを許さない
恋人たちは夏を知らない
潮風に吹かれ口づけしたことを
(教会の扉は未来を夢見ることを許さない
恋人たちは秋を知らない
散る枯葉に促されて繋いだ手を
(天使は救いの死に神を見ることを説く
恋人たちは冬を知らない
寒さに追われ固く結ばれたことを
(救いの死を祝う讃美歌だけが歌われる
(もう一度、もう一度と救済の死が繰り返される

空は食い尽くされたように穴だらけで
錆びたにおいのおびただしい血を注ぎ続けられる
海の全ては涸れた大地に飲み尽くされ
大地は火を噴く山並を永遠に差し出すことだけを許される

やがて天と地ともが一点だけで結ばれ
恋人たちの最後の空ろな憩いさえもが奪い去られる
それでも恋人たちは、なおも慰撫し合うのか
2014-06-27 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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