誰も

ミュートされたままの歌が
誰にも聞かれないまま鳴っている
鳴り戻されて泣いている
平和な午後
梅雨の気配に洗われた青空は
それでもくすんだまま飛行機を抱く
ひと時の陽だまりに
微睡む猫の夢
乾いた風が街を吹くだろう
温かな風が家を吹き抜けるだろう
午後の平和を告げる風
一匹の犬だけが歩き続ける
爪の音をカチカチと鳴らしながら
何か漁るものはないか
何か空腹を満たすものはないか
犬の爪音は立ち止まる
向きを変えただけの風に
気配を含んだだけの風に
爪音は歩き始める
平和のただ中を
誰もいない梅雨の午後
ひと時の青空の下
少し湿り気を帯び始めた風の中
爪音は遠ざかる
午後の平和の夕暮に
まだ遠いはずの夕暮に
爪は休む場を求める
長い夜を、ただ眠るだけの場を
猫の微睡まない夜の場を
ミュートされたままの歌は
もう誰にも聞かれないまま
二度と響くことなく消され
削られた爪は静かに地に伏す
静かに降り始める
梅雨の雨に打たれながら
激しさを増す雨に怯えながら
2014-06-28 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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