サンクチュアリ:備忘録

「サンクチュアリ」(フォークナー、加島祥造訳、新潮文庫)

ユックリと、やがて加速し続けるストーリー。
マニュアル・ライクなオートマチック車に乗っているような展開。
不思議なことに、多分、力を注いだと想われる最終章(?)は、
ない方が「サンクチュアリ」らしい終わり方だと感じた。

焦点は、むしろ奇怪とも言える正義漢的行動に走るホレスに当たっているように見える。
初期の方でのホレスの回想的会話が至極、暗示的だ。
「例のたくましき緑のなかに内臓された繁殖の欲望というやつだ。」

ヘレスに限らず、ポパイもガゥアンもテンプルもなのだけど、
「個別」に見るとメチャメチャな行動をしているようにしか見えない。
たとえば、陵辱から四ヶ月も経たないテンプルは男(レッド)を渇望するインフォマニアのように変貌するが、そこに至る経緯や理由めいたものの説明、描写はない。

ただ、それらが読み進めていくうちに「当然の行動」に見えてくるから不思議だ。
「ゴッツイ」力、引力に引っ張られていくような・・・
個々の登場人物が小説の中に吸い込まれて、そうとしか動きようがないような?
いやジェファソンあるいはヨクナパトウファという不思議な土地のせいと言ったほうがシックリ来る。
土地に呪われた人々の物語・・・と言ったらキザなのだろうか?

随所、訳本の関係もあるのか、荒いと感じるところもあったけれど、
底通する圧倒的なフォークナーの筆力に捻じ伏せられて気にならない。

そうだ。
フォークナーの「圧倒的な筆力」を感じながら読んでいたのかもしれない。
どことなく、すごくアメリカっぽい(当たり前か?)のは、そのせいなのかもしれない。

2006-08-19 09:29 : 実験中&備忘録 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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