キスは不思議のままに

終電を送り終え
点滅するホームの灯りは
いよいよに心もとなく
冷たいだけの風は
音もなく私たちの間を吹き
ビル群向こうの複数車線で
時折はエンジン音が響いている
私は寒さに凍えるばかり
覚えているお膳立ては
そんなもの

ただ楽しげに線路を覗き
ホーム際を歩き
想い出したように歩み寄る
幾度も繰り返す
その君の様が不思議で
私は背にした壁の
さらに冷えゆく冷たさを
我慢するともなく
すっかり忘れていたけれど
幾度目かの君は
始めて見る笑顔で歩み寄り
唐突に子供のような薄さの
柔らかい唇でキスをした

それは、あまりにも淡く
君も直ぐに背を向けて
また繰り返される
線路覗きとホームの散歩
それは年下の私への
精一杯の告白だったか
あれほどに自由に舞っていた
君ですら精一杯の
そうだとすれば残酷な・・・
いや、残酷だったのは私だったか

あの夜の冷たさすら
暖かさにすら変えた君の偉大さよ
今も、ふと蘇る
いつも笑顔だった君も、もう今は
苦笑いするほど、遥か年下
2014-07-29 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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