坂下の蝋人形たち

空の桶が蹴られさえすれば
カラカラと転げてゆくほどの坂で
立ち止まることも出来ず
なぜに底は見えないままなのか
それが坂の優しさにも想えてくる
その長さが坂の優しさの深さだとすら

振り返る気力もないまま
吹き上げくる風に、ただ向かい
坂の上空を覆っているだろう青さを
その青味を恨んでいる
先をゆく雨の川は透き通ってゆき
光り輝いてさえ見えるけれど
私の足底はへたりきっている

踏むだに坂は冷たさだけが頼りで
もう終点は過ぎたのではないか
幾度も、いつでも想うのに
限りない冷たさで、さらに迎え
私たちは、いつか凍りつくのだろう

虫歯に侵された歯が
やがて欠け、零れ落ちてしまうように
私たちも世界から零れ落ち
微塵も鮮やかさのない夕焼けを与えられ
誰にも届かない別れを、せめてと呟き

それさえをも救いにして坂の底で凍て付いて
隣り合う蝋人形のような者たちと
ただ青い空を眺めているのだろう
2014-08-06 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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