海の昏さよ、むしろ今は

波に打たれ風に吹かれしつも
抱きしめられた、かたくなな孤独のように
いつまでも岸壁の上に立っている灯は
どこまでも昏い海に放たれ、さまよい
明けることのない夜を継いでいる
対岸の灯は深い海霧に霞み、荒波さえ見えず
静謐にさえ想える海の響きは
二つの灯の間を保ち続けている
そっと灯台に寄り添えば
冷たい湿りに濡れそぼれてしまうけれど
ほんのりとした遠い温かさを静かに
体の芯に感じ入れながら海を忘れ
きっと訪れるだろう朝焼けを想い描く
幼い日に指を滑らせた地図のような場所は
ついに、どこにも見出すことは出来ないまま
迷い道だけが行く先々で待っているばかりで
川沿いの険しさをかき分ければ海に出る
そんな海に怪しく震える足がすくまぬように
ただ、消え入るような温かさに溶け
救われない身の冷たさを祈ると
いつしか対岸のない海を二つ、並んだ灯が微かに照らし
その重なりの分だけ海は少し、開いた気がする
波は止まず、風も止まないままなのだけれど
果てのない漆黒に沈む海すら、ほんの少しくらいは
開いたような気がして、それだけで良いのだと
むしろ今は、十分過ぎるくらいなのだと
2014-08-07 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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