優しさのドナドナ

ぼくの蒼ざめたままの優しさが
朝早い市場に束ねて並べられ
品定めされているうちに、ぼくは
優しさを置き去りにした自由を得る
幾千年の巨木に耳をあて
無数の銃弾に斃れた兵士のうめきを聴き
彼らの切り刻まれた記憶の数々を聞き届け
最期の涙をすら乾いた一つの想い出にしまう
ぼくの優しさが売れているのかどうか
そんなことは売人の手腕によるもので
ぼくが関わることじゃない
なんだったら星の輝きだって
売るのが売人の手腕というものさ
ぼくの血は抜き取られたし
とっくの昔に売られたんだろう?
もう鼓動の音は聴こえないから、きっと
知らない遠くで、ぼくの血は流れて
そろそろ捨てられていることだろう
それでこそ偉大なる自由経済だ
知らない人の血肉で生計を立て合い
資本家や資産家は幾億人分もの干肉をぶらさげて
ただ倉庫にしまっておくものさ
街をゆく人々の優しさは、それぞれの朝
正確な歩調で市場に向かい、そこで並ばされる
眩しい光は邪魔でしかない朝、皆の優しさに並び
ぼくの優しさも売られている
大した値も付かないままに
下卑た顔をした仲買人に品定めされ
無数の優しさは売られゆくのだ
2014-08-08 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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