スピード


追いすがる切迫感に季節の雨は降り
急坂を走る水を引くように速度を上げながら
ピックがアコースティック音を追う
消える直前でだけ露に結ばれる朝霧の中
ナイフは切り裂くべき標的を失い
冷めた鋼色の光に沈んでいるが
切っ先から滴る血が絶えることはなく
断末魔の喘ぎを嘲笑う神の残酷さを真似て
開く胸の中には空虚さだけが残される
追うことから取り残された疾走は
踊り子に見捨てられたダンスに似て
狂い咲く百花の繚乱うちに消えながら
乱暴に女の服を裂き剥ぐ男の狂気をなぞってみる
きっと単なる渇望でしかないそれら
どれだけ重ねても厚みを増さない世界が
ただの影でしかないなんて分かってはいる
刻まれるビートはメロディーを憎んでいるし
奏でられるメロディーはビートを憎んでいる
何も手にするなと囁く優しい悪魔
屑カゴに放られるために与えられる神の恩寵
どれだけのものに背を与えるべきかじゃない
背を喪ったまま去るのに十二分過ぎる
あらゆる過剰さえ置きざりにしてしまう
そういうスピードがあるというだけだ
2014-08-11 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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