虚偽としての草稿物語-あいしているアイシテイル-

救いなどありはしない、と
ただ狂おしい狂気に満ちた世界と
頑是ない狂気だけを与えられた生
あまりに偶然的に過ぎる
喜劇としての出遭い-その犠牲者
偶然だけで世界を司る
滑稽な騙りだけを繰り返す神への捧げ物-
いわば・・・晒し者にしかすぎぬ<モノ>

忌まわしくも懐かしい
あの狂気への淵を、ただ、さまよい伝い
(正常、異常の境とはどこにあるのだ?)
ああ、ただ狂気へと向かう者として
確かに、私は私を捨てた
教会や神が塵あくたを捨てるように
私は・・・私を捨てたのだ

だのに、ほんの少しの優しさは
与えられる微かな光、希みの冷たさ・・・
それよりは狂気に身を任せる方が良いのだ
覗き見まで出来ずとも心かすめる救い
それだけで残忍にも狂気は
恐ろしいものとして私を巡り囲んでしまうではないか
私も、また求める者に堕落してしまうのだ
ただ狂気を生きる者としての矜持さえ捨て

無垢の与える命の冷酷さは、なににも増して
恋慕を、捨てきったはずの慕情を-拾い集め、
その前に私は立たされるのだ!
救いのない残酷さよりも、はるかに残酷な
救いを夢見てしまう、愚かなる者よ

-悪魔の仮装をした天使が語り掛ける
「君はもう、歩けるだけの狂気を歩きたまえ
 君を愛したもの達を遠い過去にして
 微かな光に身を焦がす狂気を歩きたまえ
 道幅のない道を、水の流れない川を
 天上より狂気に満ちた狂気を

 仮象として背負ったなにものが君を
 狂気の淵から逃れる道を夢見させたか
 夢の内に巣食い、喰らい尽くしたか
 いつも背中は愛したものの背中でしかなく
 君は君の天道しか歩まぬのだろう?」

ああ、その人の胸は柔らかに膨らみ
微かな風にさえそよぐうなじを見つめ、そのとき
どんな天使よりも美しい幸せを見るだろう
天使たちは嫉妬さえ覚えるかも知れぬ
「しかし、それは仕方ないことなのだ
 君たちは極寒の、灼熱の地に伏したことはない
 私たちは常に針刺され、空をさえ忘れるほどなのだ」
むしろ真に天の、神の使いなら祝いたまえ!

雲上の星々たちよ、私は
あなたたちの声に、語り掛けに耳を傾けよう
一日と保たれぬものだけを持つ、あなたたちに
流れることのない銀河の一つとして
沈黙して川の流れを見送る、あなたたちの
声、語り掛け、優しさに

-幻影だけを信じる星々が語り始める
「私たちは多分、君の言う愛を信じない、すまないね
 その人は胸を膨らますこともなく
 うなじは強い風にそよぐことさえないだろう

 君は、それでも良いと、今は言うだろうか・・・
 ならば私たちと同じように、ただ沈黙を学び
 そこにあるだけの(狂気に似た)あり方を知るが良い
 捨て去られたものとしての私たちを見るが良い
 吹き溜まりに追いやられるだけのものとしての私たちを
 ついに私たちは、信じる者ではないのだ」

ああ、全ては知っているんだ・・・
ここから見える世界が酷く歪んでいることも
植えつけられた狂気の種子こそが私であることも
私の愛する人も仮象でしかないことも
私の愛(と想い込んでいるもの)も、また
一つの仮象でしかないことも

狂おしさを超えた狂気を行こう
アルコールの切れ目に忍び込む狂気さえ拾い
もちろん、与えられる狂気は我が身に受け
虚無としての狂気を歩き
夢見られない夢を、時折は振り返りながら
サヨウナラ
その一言を告げるために私は
涙できるなにものをかを探し続け
やがて沈みゆく狂気にこそ、捧げよう(ナニヲ?)
2014-08-11 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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