夏は、もう来ない

諦められた夏の暑さは
狂気を保とうとはしているが
その夏は嗤われる暑さでしかない
正確に死に絶えゆく季節だけが人に
狂気を、畏れを与えるのだから
終わる前に彼は言うだろう
-せめて夏陽にきらめく海を
 遠くまで光に満ちた海を-
彼は自ら去ったというのに・・・
ぼくの大好きだった夏が
最後まで捨て切れなかったのは
きっと人称という悪夢のしがらみだ
彼は「俺」と自分を呼んでいた
素朴な時代なら、それで良かった
もはやハイ・テクノロジーの時代だ
「俺」という暴力は冷たく理解され
分析し尽くされまではしなくとも
巡る季節の一つとして「組み込まれ」た
彼は、もう夏であること
そのものを忘れるべきだったのだ
俺であり、私、ぼく、Iであり
お前であり、あなた、きみ、Youであり
(この対応すらが組み込みである)
それらのどれでもない、夏
ぼくの大好きだった、夏
最後の夏を、ぼくは、もう
見送ってしまったのだった
2014-08-19 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

拝啓




Author mak From "空白"

想一葉、兼訪問帳

星々の冷却(書肆侃侃房)
渓谷0年(オンライン版)
Both by mさん

【 無意味という意味 】
すこしの風を追いかけて
【 短文 】
大海にも降る一滴
2015.07.17.

For Admin

落書内検索

月毎落書

一言お報せ

リンクは勝手に頂戴、削除してます
ご迷惑な場合は、ご一報下さい



メール・チェックは非常に稀です


BlogPeople

出現するかもエリア-転記候補