遠雷

真夏の深夜、遠く響く雷鳴がある
一度だけ鳴って雷雨を置いてゆく雷鳴が
重ねられるべき何ものもなく消え
季節は二度とは訪れることを知らず
一度だけ訪れては去り、季節は
はるか手の届かぬ遠くへ去ってゆく
記憶の中に 想い出の中に
街角の隅に 公園の草花の片鱗に
愛しい人の面影の内に-
憾むなかれと言うか?
賢者の如く不変なるものなし、と
それは分からぬではないにせよ、だ
私が、その人を愛する季節すら、もう二度と
訪れることはないのだ、もう二度と・・・
その哀しさを通り抜けて私は、なおも
その人を愛するであろうが
あの雷鳴が、ただ一つである如く
今の、この季節は、ただ一つ
ただ一つの季節が置かれるだけで去ってゆく
二度とは振り返ることすらなく
知っている!
置いてゆかれるのは私だ!!
私だけが、あらゆる季節に置き去りにされ
ただ独り過ぎた季節の中に生きることを
愛しい人の軛を引きずり
みすぼらしくも生きていることを
ああ、もう一つ-
遠雷が微かに響いている
せめてもの愛は、遠雷に響き合うだろうか
たった一度であっても遠雷の如く
その人に届くだろうか
2014-08-20 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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