手紙から海へ

書かれたことに悔いを与えられ
投函される手紙は、しかし
決まったように届く宛もない
投函に落胆する男の影が伸びて汀となり
静かな波-荒波を含んだ波が訪れる午後
陽の傾きの遅さには涙が追いついてしまう
(もっと遠くへと追いやるべきだ)
そして波を追うと海に出る
遠いはずの水平線が、すぐそこにある
小石を投げ込めば少しだけ
水平線は向こうへと遠ざかる
男は少年に戻って小石を投げ続ける
水平線が、さらに遠ざかり、少年は夢中になる
そのときだ、陽の落ちる場所も遠ざかるのは
二つしての遠ざかりのなか
少年が気づくのは水平線の遠ざかりばかりで
しかし腕が、肩が疲弊したころ
防波堤に腰を下ろせば夕暮の海
一瞬、風を失った海がオレンジ色に輝き
隠してくれる涙を少年は浮かべ
瞳の奥に一人分だけの空隙を残し
向こうの崎の突端で釣りを続けている
老齢を迎えた自分を見つめている
男性とは、少年と男と、老齢のぼくだった
2014-08-21 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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