叫べない橋上

子供とて純真ばかりではない
むしろ大人よりも本能に近い敏感さと
狡猾さとやらでさまざまに装い
やがては鈍麻した感覚に気づき
そのとき、大人となっているのだ

ぼくは、それでも想う
子供の本当の哀しみを
忘れてしまったのだろうか、と
ただ何ものにも思慮を持てず
情けなく泣くしかない本当の哀しみを
そして静かに想い巡らせ
ただ思考のなかに哀しみを沈潜させ
空虚さだけに満ち
それでも体裁を繕う哀しみに、この身は
染まり切ってしまったのだろうか
子供の狡猾さとは違う巧みさで
哀しみを逃れる術を求め
その求め、そのもののなかに
自らを置いてはいないか、と
最も哀しみから遠くに自らを置き
哀しみの振りだけで生きていけるように
嘘の涙だけを涙腺に溜めて
むしろ子供でも大人でもなく
透き通ったり汚れたりする哀しみに
ただ、はらはらと涙することは、もう
永遠にないのだろうか、と

私は私の哀しみを喪ったまま
哀しい橋上から水中の見えない川を見つめ
きっと、その奥に潜むだろう
この世の悪意を見出そうとしていた
哀しみを奪う悪意なき悪意を
私が私として哀しめない、哀しい理由を
2014-08-25 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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