非守護に架かるアスファルト

マッチ箱のようだと母が評したその家は、
紛れもなく父の血と汗と涙の結晶だった

夏陽の強い昼、一人で家の前に立つと、
両端を田圃に挟まれた窮屈なアスファルトが
カラカラの色をして朧に伸びていた
十にもならぬ<僕>はその時、
一本の真っ直ぐの朧を見つめていた

アスファルトは森に飲み込まれ、
森は小山に飲み込まれ、
そして小山は湧き上がる黒雲に飲み込まれ、
黒雲は蒼空を押し退けて伸び上がってきた

遠い朧が、明とした輪郭の柱に掻き消され
アスファルトは雲の色に染められながら
あ、と言う間もなく<僕>の足元までが突然に真っ黒になり

ズブ濡れのままに置き忘れられた<僕>は
マッチ箱の前で、ただ佇みながら
変色したアスファルトを眺めていた
2006-08-23 13:15 : 消去一葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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