訪れすらない

今日も訪れることのない人を待った
浅いまどろみを棄てれば陽は高く
忙しげな人々の波が街を闊歩しているだろう
(私のいない波のなかでなら訪れるだろうか-)
街は時間帯で出来ていて
走る車、曳かれる自転車、押される手車-
人々や犬、猫までもが時間帯に沿って波となる
凍結したままの波が時間帯に沿い、押し寄せるのだ
あるいは、それは凍結した時間帯
街路樹の揺れる時間帯、街路樹の落葉する時間帯
訪れることのない人が訪れる時間帯は、ついにない
そうして過ぎてゆく一日を
熱し過ぎた公園の池から飛び出す魚が路面で見上げる
吸うことの出来ない空気に囲まれて、それも
水のなかよりは幾分も良い終わり方だ
走り寄る数匹の猫たちの、片目が潰れた一匹
その奥に光を喪ったままの永遠の闇を放り込み
誰も振り向かない午後が過ぎ
直ぐに誰もいない夕暮が迫ってくる
訪れることのない人は待たれるままだ(誰?)
視線を落とした書類から顔を上げる人がいれば
一日は、もう、それだけで終わりに向かう夜
また、いずれ浅いまどろみだけが延々と続く時間帯
訪れることのない人を待ち続ける時間帯が延長され
哀しみを喪った涙の一つでも零れてみようか・・・
読み終えていない本を手に取り
それだけで読み終えて元に戻すだろう
積まれた数冊の本のなかでは知らない時間帯が綴じられ
そこにまでは誰も訪れることはないように
今日も訪れることのない人を待った
2014-08-29 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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