管を巻くよな脆い硝子の優しさヨ

昨晩、風さんが中也に触れた文に触れ、久し振りに読んでしまった。
といえば、いつもの通り、またショックを受けて仕事もロクせず寝込んでおりました。

中也を読んでは詩めいたものを書く気力さえ萎え。
誠に困った御仁で御座います。
せめて、寝込んでも生きるに困らない仕事に就くに至った僥倖を喜ぶか。

中也を思うと、いつも想い出す。
アル中で家族中に迷惑をかけていた伯父である。
布団に潜り込んでいる私をまたぎ、飛び掛らんの勢いで父と激論した夜々が、今でも鮮明に記憶に残る。

何故か私は伯父に大変に可愛がられ、優しい伯父しか知らない。
いや、見えなかったというが相応しいだろうか。
後年、実兄を語って、母はこのようなことを言ったものだ。

「生きるには不器用な優しさを持つ人だったのね。
 お酒さえなかったらとは思うけれど。
 でも基本的に怠け者だったのよ。」

最後は離婚し妻子に見離され、一人で亡くなった。
火燵に入ったまま、合掌姿で変色していたという。
「変死」であるが、何かの拍子に心臓麻痺を起こしたらしい。
欲赴くままに業を燃やし尽くしたとては、不釣合いな大往生である。

中也と出会ったのは何歳頃であったろうか。
読むだに伯父を想い起こすのは、他の違いを飛び越えて両者に感じた「管を巻くよな脆い硝子の優しさ」故であろう。

風さんの
「どこかで多分、想い出というものはやっぱり、この今の自分を癒してくれる、そんな奴なのかもしれないと想う」
という一節に、中也に魅かれる者は、同じ優しさを見取っているのかとフト思う。

汚れつちまつた悲しみに
なすところもなく日は暮れる

為念、
最後の一文は中原中也で御座います

(初出:2004年12月01日)

2006-08-24 01:15 : 消去一葉 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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