海鳥

幾日も、涙を忘れさせる季節が
通り過ぎる手前で待ち
愛する人のいない、その季節のなかで
霧のように晴れてゆく雨に打たれ
帆船の巡る小島は水平線だけに囲まれている

想い出すなら、飛ばない鳥の遠い翼
波音のなかに消える波だけを待つ渚
船乗りの見ない水平線だけを追う海
死ぬためだけに飛ぼうとして
おぼれ続ける海鳥の鳴声だ

朝が、そのように訪れるのは
書き尽くされたことばの涯には君がいない
そのためであったが
やはり霧は雨に変わって激しく肩を打つだろうか
君のいない季節だけに恋をして
君の唇が渇いた夜には口づけを忘れていた

後ろ姿を見せずに去ろうとする君の後ろ髪が揺れ
廃線を走る電車の影を追い掛けたり
山の音だけが周囲を響いて海を作ったり
気づいた時には波際を求める涙を棄てたり

季節のない記憶のなかで涙を少し想い出す
歌を忘れたまま歌う歌で目覚めると
そこでは君の面影の夢が消えるのか
冷たい雨は今日も降らずに氷雨を抱いている
水平線のない海沿いを歩きながら
氷雨を抱いて握っていた手の温もりを忘れ始めている
2014-09-02 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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