一つの夜のなかで

交わせば
すれ違うだけのことばだけを与え合い
背中も見せずに別れることだけで
愛し合うことのすべてとした夏の夜のなかの
ある一つの夜のなかで独り
哀しげなメロディー・ラインが遠くから
まるで君の足音のように鳴ってくる
耳をふさぐよりは寝たふりをして耳を澄まし
開け広げられた
小さな窓枠一杯の夜の空に星はチラともまたたかず
それで良いのだと知るのに
どれだけの昨日を生きねばならぬのか
分かりきったように語られる
愛のいくつかを横切って断たれ続ける愛に似て
どこまでも滑り落ちてゆく坂と
伝えられずに絶えてゆくことばたちは
互いに愛し合いながら交差することはない
もし彼方で泣くことが出来たなら、その涙は
偽りの涙として流そう、とー
勘違いでなければ、ぼくは
もう息絶えているのだろう
少なくとも息絶えたものとして生きるしかないのだ
眠ったまま不在を生きるように息絶えて
あるいは数日を生きるだけの虫のように
少しは美しく鳴き、遠ざかる足音にさえ怯えて鳴き止み
過ぎる時間に耐え続けるだけの見いだされない星-
2014-09-03 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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