ある女の一生は

人生を一編あるいは数編の詩として過ごした女の野辺には
詩碑の一つ、詩集の一冊もない
ただ女とは無関係の詩人が息絶えている
もう遠い秋の落葉で覆われてしまっていて
むしろ、ただの土塊にこそ近い-
木蔭を通ってくる女が一人
野辺だった公園に訪れ小さな池に花を手向けていたが
なんの意味があったわけじゃない
渡す相手がいなかっただけであったろう
受け取られずに花は萎れ、いっそう池を浅くしていた
せせらぎの微かな訪れを背に女は去ったが
彼女のベンチには一冊の詩集が置かれており
作者の名前だけがすべて消されたままであった
開かれた後もない詩集を拾う子供が一人いて
母親が詩集を取り上げパラパラめくった後
クズカゴにポイッと器用に投げ入れて
「買い物に行くわよ」と告げると
子供はすべて忘れて母親と去って行き
公園にはだれ一人いない時間だけが残されていた
女は人生を一編あるいは数編の詩として過ごすことがある
2014-09-03 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

拝啓




Author mak From "空白"

想一葉、兼訪問帳

星々の冷却(書肆侃侃房)
渓谷0年(オンライン版)
Both by mさん

【 無意味という意味 】
すこしの風を追いかけて
【 短文 】
大海にも降る一滴
2015.07.17.

For Admin

落書内検索

月毎落書

一言お報せ

リンクは勝手に頂戴、削除してます
ご迷惑な場合は、ご一報下さい



メール・チェックは非常に稀です


BlogPeople

出現するかもエリア-転記候補