どこにもいない/どこにもない

朝の光が落ち着きを取戻し
喧騒が気怠さにまでは変わらない時間
記憶の雨が降り、濡れそぼる

昨日にも喪われ、
現在にも喪われゆき、
明日にも喪われるだろう-
三つの喪失の記憶のなかで
だれもが濡れそぼっている

あらゆるものが、風景が-愛さえもが
三つの相にだけ単純に分割され
<私>だけが
どこにも属することが許されない

そのとき一羽の白鳥はキッと首をもたげ
比較を許さない青空を翔って涯の知れぬ旅路にあり
哀しみを遠ざけた瞳は遠く地平を映している

決して振り向かない飛翔は、やがて
雪を頂いた山並すら越えてゆき
私たちは飛ぶこともないままに
いつまでも見送り続けようとする

<ほんとうの喪失されるべきもの>とはなんなのか
それすら知らず私たちは、ただ
少しの立ち止まりのなかで遠望に飲み込まれては
哀しい日常に戻ろうとするばかりなのか

寂しさを携えて、なおも忙し過ぎる雑踏は
残したかもしれぬなにものかをも
踏み越してゆき始める
私たちも、また
空しい風波のただ一つに戻る
2014-09-08 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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