むしろ航海士は立たず

凍れる帆船の沈みゆく航路
陽の引いた涙痕と曳船として導かれ
遠くに水平線を置くことなく
ただ揺蕩うだけの夜道のように

詩語が絶えて書かれた詩のフレーズのように-
詩碑は立つ、建てる場所すらないままに
あるいは死したように横たわりして

乾いた湖底には古い地層だけが重なり
新しい重なりは訪れないまま
帆船の船底音の谺だけが砕氷船の音のように-
川の連なりが海と湖を迷路で結び続けている
(それは、むしろ断たれるべきものであった)

重なる影がスライドしただけで立ち上がり
むしろ誰よりも姦しく雄叫びを空しくし
光なき栄光のなかで、なお光ろうとし
最後の蝋までをも燃やし尽くそうとしている

夕暮を通らずに暗闇の憂鬱は訪れ
憂鬱のなかでだけ光る青白い画面だけが
世界のすべてを満たしてゆくのか

帆船の動きは至極、緩慢なままだが
風は相変わらずで帆ははち切れそうに張っている
沈みゆく航路は地図に書き込まれているのだろうか-
広げられたままの海路図は白紙のままだし
その前には誰一人、立ってはいないのだ
むしろ航海士ならば決して
その前に立ってなど、いはしないのだ
2014-09-12 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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