影/<影>

西の地平に向けて
いよいよ日が加速度をつけてゆき
陽射しが水平を目指す頃になって、ようやく
気づかされることがある

整った家並の一面は強い西日のなかにあって
別の一面には、すっかり影のなかにある
そう想ったときの家の角に向ける45度の視線は
そこに弱い西日を見る

影という影は光の濃淡に過ぎないという
当たり前のことに気づかされるのだ
強い光は、より強い<弱い光>を生み
絶対の影は生み得ていなかった

ああ、こんなにも単純なことにすら私は
ほんとうに気付いて語っていただろうか?

ああ、今や早くも山端に日が掛かった
西日を強く受けていた面も<影>になった
しかし視線は紛れもなく
その<影>を捉えているではないか

それは、なんとも寂しい光景だった
見える見える、<影>が見える
<影>が見えることこそが
むしろ私の哀しみであったのだ
私は勘違いをしていた!
<見えない影>を哀しんでいたこと、
それは大変な間違いであった

<影>のなかに家並だけではない
電柱や電線、道路や人波、ありとあらゆる雑多なもの
それらを見出して私は、なんとも言えず
哀しみの、それらは<哀しみの影>の憂いのなかに
あることに気づいたのだった

そして私は一人、ただ弱ってゆく<私の影>を見るために
西に背を向け、ただ立ち
弱ってゆくだけの<影のなか>で
言い知れぬ哀しみを感じ続けていた
2014-09-13 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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