巣にあって眠れず

救われるものなき救いの優しさで
幻としての現実から霞むことを許され
一つの愛が遠ざかってゆき
残される影なき影の連なりの涯と
そこに置かれるはずだった白紙の詩集と
吹くよりも降ることを希う風の涙と
降るよりも吹くことを希う雨の空しさと
いくつかの空ろの残滓たち

「おう!生きることは死ぬことかよ」
一つの声が小さく谺を繰り返している
ああ、なんと空しく愚かしい逆説なんだろうか
死ぬことにだけ生きることが残されるなどとは
(しょせんは、すべてが
 そうであるように-でしかないのだが)

涸れる涙すらない赤い目
叫び、呟き疲れてたるんだ口元
茶けて醜く膨らんだ腹
青白く、ただ長いだけの脚を
八方にだらしなく伸ばし
それでも天を覆うように巣は張られ
蜘蛛は星の一つでも
とらまえようというか

ただ赤い目が一つに捉えるだろう風景の中で
無数の希望は直ちに絶望へと変貌してゆく
絶望のなかでしか生きられることのない風の音と
波立つことなく響くだけの海の音とを
哀しみに変えて消えてゆく暁を待たずに

ああ、今日も、今日も-
待つ者たちは消えることすら許されないまま
視線の限りに拡がる世界を憎しみ始める
憎しむほど愛したこともない世界を
憎しむほどの力も残っていないまま
欠けたまま壊れてゆき過ぎ去ってゆくだけの
私を置きざりにしてゆく、一つの世界を
2014-09-18 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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