雨音/世界

湿気を帯びた空気が過ぎる
気づかない間に雨が降り始め
気づいた雨音は静かに、一つの滴として
激しく世界を打っている

雨垂れの音が混じり
あるいは吹く風の煽りを受け
そのとき世界は沈黙し
雨音は支配者のいない世界で
ただ激しく世界を打ち続けている

少しでも瞳を閉じれば
見覚えのない人たち-
たった一度も、すれ違ったことのない人たち
ただの一言も聞いたことがない人たち-
雨音の奥には彼らの慟哭が見え隠れする

雨音は、ただ、なんの変哲もない世界を
どうという心もないままに
ただ激しく、そして至極、静かな激しさで
いつもと変わらぬ、なんの変哲もない世界を-

ただ、ただ雨音は

美しくあるというだけの、ありのままだけで
いつもと変わるわけもない私たちの世界を
いつまでも、いつまでも延々と
限界のない静謐さで打ち続け始めている
2014-09-19 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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