そのとき、

そのとき、空は薄い雲で覆われ
薄日のなかで空白の正午を迎えようとしていて
誰彼問わない作業員たちは賑やかに
ひと時の憩いに向かう一群をなし
側溝の汚水は絶え絶えになりつつある

そのとき、雲洩れ陽が降ると
驟雨が海に山に、そっと丁寧な雨粒を落とし
形を保った滴が短いだろう命を結び
開きも閉じもしない無数の傘が
戸惑いながら空をぼんやりと見上げている

そのとき、一つの名もない小川が流れ
赤い風船は膨らんだまま、ゆっくりと漂い
巻き水の流れに乗って岸に着き
柔らかな春の草葉に触れながら
小さく幼い、温かな手を想い出している
たった一つだけの最後の想い出として
少し前のことを想い出している
2014-09-19 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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