森の雨が去る

来る前に去ってしまった夏を
うずくまりながら見つめ
一日が一秒として過ぎるなか

波は遠く忘れかけている夢のなかに
波音は拾う巻貝の殻のなかに
ただ泣いている君の背中が目を開かせて
立ち去ることが出来ない

君はことばを使う人ではないから
暗愚な私に想い出せることは少なく
深い森のなかを清冽にゆく川の畔で
黙ったまま、ただ涙を流す

その面影の薄く消えるなかを
静かに森の雨が降り
私を降らない雨が君に降り
霞んでゆくように降る哀しみにすがり
幼い子のように、やはりうずくまり
すべてを見やる仕方で
うずくまって見つめている私の背中と
訪れることなく去ってしまう君と
想い出せない時間を見過ごしている

美しげに見える渓流の流れは
しかし残酷に時間を遠くへ運び続け
倦むことなく私を置いてゆき
去ってゆく君を上流から運んで来ては
訪れる君は遠く下流を流れている
その音が微かに聴こえている

聴きたくない音だけが
択ばれたように聴こえてくる
忘れたくない想い出だけが
虹向こうに消えてゆくように
聴きたくない音だけが
君といたはずの森深くの夏を響いている
知らない夏が聴こえてくる
2014-09-20 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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