少女のように

通り過ぎた影は君だったのか
すべての記憶を奪ったまま
名のない君が過去に巣食って
やがては消えてゆくこともなく
落ちることのない月のように
巡る中心は空っぽだというのに

悔しさを滲ませて夕暮は終わりたい
陽の反対側に昇ろうとする月は
太陽とは違う天体として空を巡ろうとしている
少女は窓枠からすべてを見通すだろうか

待ち続ける人たちの喪われるべき昨日
忘れて過ぎる人たちの今日の今
来ることすら期待されていない明日

通り過ぎる影を君として
少女のように窓際のカーテンに隠れ
降る気配のない雨が路面に跳ねるのを見つめ
雨に関係なく飛び交う小鳥を追う

いつか聞いた歌を想い出す花は
もう名前を聞いたかさえ覚えていない
ドライフラワーの美しさより
萎れ枯れてしまった美しさを花瓶に残す今は
もう捨てられてしまったのだし

描かれるのは季節のない秋の湖畔
枯れることのない鮮やかな緑の木々たち
涼やかに吹き続ける湖畔が生む風
影を落とすことなく消えてゆく君の面影だけを探す
記憶のなかに刻まれた痛みだけが
その面影となるために過ぎてゆく時間には
季節が宿ることはない

鮮やかさを増すだけの緑に終わりはなく
波を忘れさせる木の葉の揺れてゆく様に瞳を奪われ
手が触れる距離を通り過ぎる君を知らない
知らない君を知らないままの季節は過ぎることがない
君のいない今日だけが降り積もるように
明日のない今日が永遠に繰り返される
2014-09-21 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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