君の身体に-

波打際から遠く
砂を合わせた両の手にすくえば
砂粒は指の間から逃げてゆく
どんなに固く指を締めてもだ
砂の影だけが逃げずに
いつまでも冷たくなった海の上に落ち
腰を下ろして、その影を見ている

きらめく水平線は
いつから存在していたのか
海から香ってくる風には水平線が見えない
高く回旋するトンビは岬にしか興味がない
波打際を歩く君は足の冷たさにしか興味がない
腰を下ろした私の瞳には砂の影しか映らない

波は消えて海は凪よりも静かに穏やかだ
海底を喪って
どこまでも消えるように静かに穏やかだ
夕暮までの数瞬だけで過ぎる季節のように
空を知らない海のように静かに穏やかだ

海に近く砂をすくえば君が微笑む
硬い砂が爪の間に食いこみ
君の手が私の手を覆う
不快な軽い鈍痛が君の身体に飲まれてゆくように
静かに穏やかに消えてゆく

私たちの海が喪われてゆくように
私たちの息づかいを空が見詰めている
哀しくもない涙を流しながら
君の薄い微笑を見詰めている
トンビの哭く声を、より遠くに感じるように
瞳を閉じながら君を見詰めている
波打際から遠く、君を見詰めている
2014-09-22 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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