田舎への手紙

一つの夜のなかに
いくつかの夜をまたいで
光で満ち溢れた高速道は
まばらに高速で駆け抜ける車を乗せて
だれもいないような田舎を走り
都会の喧騒や面倒な渋滞を嗤っている
たくさんの跳ねる魚を抱く川のように
優しい川面を美しい夕暮に彩り
誰知らぬ時間だけを過ごす
あるいは一人だけのために美しく光り
夜の闇のなかの怪しいうねりは魅惑的で
触れれば滑るような滑らかさと
吸いつくような湿りぐあい
ああ、それに比べたら
都会の乾き具合ときたら、もう絶望的だ
夜は訪れることもなく
車は走ることを忘れたまま呆けているし
どこにも女体の美しさは欠けていて
アンドロイドの女たちだけが闊歩している
それが文明というものなのだろうか
男たちの造るものの不器用さなのだろうか
田舎の女よ、その美しく張った胸を誇ると良い
その艶めかしい弾力に満ちた胸は都会にはないのだ
その柔らかな曲線に抱かれた腰つきも
ああ、それでも君は往くのだろう
乾いたアンドロイドになるために
ぼくの知らない女になるために
愛しい人よ、せめて最後の手紙をと想ったが
あまりの無力に、ぼくはペンを持つことも出来ない
もう想い出したくない世界のなかから
都会に外部があるのなら、と書きかけた手紙は
誰も集荷に来ないポストに投函してしまった
もしポストの前で倒れている男がいたら
それが、涸れ切った姿であったなら
それが、ぼくの息絶えた残骸だ
もう中身を、すっかり田舎に移した残骸だよ
2014-09-25 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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