聴いている、それでも聴いている

あまりにも無言に似た、その無言を涙で汚そうとは想わないけれど、夜は一人の足音しか響かせることがない。カーテンで、そしてブラインドで遮ったはずでも忍び込んでくる夜には、一人は無数になったし二人だけが独りだった。

遠くを横切るはずの視線は忘れかけた足跡の輪郭を地平線としてなぞり続けながら、その行方を知らない。知らない岬を巡るように、たった一つの足跡が半島となり、その輪郭だけを追い続けている。少し遠くに耳を貸しさえすれば、堰堤を越えてゆく柔らかな川のせせらぎだって聴こえてくるというのに。

談笑する人波さえもが押し流そうとするすべてのなかで、二倍の忘却のなかにだけ見る夢を、朝、目覚めても終わることのない夢を、それでも無声映画のように繰り返し見続けていると、叫びと区別のつかない何かが聴こえてくる。たった一行だけで終わる詩のような、決して何ものかに刻まれることのない詩のような、限りなく叫びに近づいてゆく何かが聴こえてくるのだ。
聴いているのだ、それでも、きっと聴いているのだ。
2014-09-21 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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