一つの秋が

六つの街を通過した夢のなかでは
黒くなり損ねた犬が
笑いのなかに笑いを解いて
しかつめらしく人影を見定めては
いくつかを吠えたてている

夕暮を哭く夜のように
一つの橋は滴り落ちながら眠りを求め
川面に着く前に息絶えていった
分解された夜は夜霧が覆い
死にかけた影たちは死にそうな街灯に寄りそい集って
猫のように無言の会議を繰り返している

遠くまで行くはずだった犬が引き返してきて
黒くなり損ねた犬の横を澄まして通り過ぎ
白くなり損ねて寝そべると秋が
もう近くまでやって来ていて
私たちには哀しみが返却されてくる

いくつか前の冬に託して凍らせたはずの哀しみを
無造作に秋が放ってくる
人気のない波打際を放り出してくる
黒くもなければ白くもない
色のない波打際を放り出しながら
一つの秋が漂着してくる
2014-09-28 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

拝啓




Author mak From "空白"

想一葉、兼訪問帳

星々の冷却(書肆侃侃房)
渓谷0年(オンライン版)
Both by mさん

【 無意味という意味 】
すこしの風を追いかけて
【 短文 】
大海にも降る一滴
2015.07.17.

For Admin

落書内検索

月毎落書

一言お報せ

リンクは勝手に頂戴、削除してます
ご迷惑な場合は、ご一報下さい



メール・チェックは非常に稀です


BlogPeople

出現するかもエリア-転記候補