幻想掌話

遠くの手の平に砂と夕陽とが落ち
空しくなった指先があがくとき
哀しみは手放されている

即物性の愛が植物のように芽生え
抽象化された人々の間を影のように歩み
世界は形而の上下を往来しながら
聴こえない羽ばたき音を探す鳥のように
盲しいた瞳を季節のざわめきに向けて開き
見えない全てを抱こうと
地平に等しい腕を回し
いつまでも振れない空しさに暮れている

一かじりされて捨てられるリンゴのように
世界の空しさは捨て去られ
優しく受け止めるはずのときすら過ぎて
ようやく手の平の感触を確かめる

一方の手の平を、もう一方の手の平と合わせ
祈りに似た胸前で合わせた両手が
もう一つの、さらに、もう一つの手を呼び
共有されるなにものもない

ああ、ただ一つの誰のものでもない
幻想に似たものだけが残される
ただ一つとして同じではない
絶対的差異に隔てられた
幻想に似たものだけが残されている
2014-09-28 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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