昏くなる記憶

想い出すと昏くなる記憶が
一つの造形のように弾きだされ
夜の静寂さは
語れば言葉を奪ってゆく静けさに変わり
忘れられた船着場に誰かの影が立つ
それを君と呼びたくない私が
どこからか吹くはずの風に宿っている

-もし哀しみに色を着けるのなら
 この海の色が良いわ
そう言ったはずの君の海の色は覚えていない
その面影を覚えていないように覚えてはいない
ただ、すべてではない
いくつかの季節は覚えていて
剥落した季節には君と出会ったはずだ

-次に会った時には教えてあげるわ
想い出せば昏くなる記憶が
その言葉だけを弾きだし消えて、この夜の静寂さは
語るに足らないことを教えてくれている
言葉の空しさだけを教えてくれている
2014-09-30 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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