一筋の痕

一つの窓際に置かれた
一つの造花のなかの君の眠り
陽の弱さが造花の弱さを語り
窓外の景色の薄さが眠りの薄さを語り
使われずに息絶える暖炉の熱は
陽に替わって部屋を冷気で満たしている

窓枠をなぞる靴音は鳥のさえずりのように
微かさを命のように抱いている
秋だけで出来た命を君に与えられ
奪われることなく散ってゆく命のように
靴音は静かに遠ざかり絶えてゆく

懐かしさのなかに想い出は宿らず
君のなかで眠る記憶のなかには
きっと探し出せない、いくつもの想い出がある
決して想い出せない記憶がある

君の眠る一つの造花のなかで
一つの窓が開かれると
眠ったままの君の頬には
涙が流れた痕が浮き上がる
いつか、なぞったラインに沿って
流れた涙を拭き取るための
一筋の痕が浮かび上がる
2014-09-30 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

拝啓




Author mak From "空白"

想一葉、兼訪問帳

星々の冷却(書肆侃侃房)
渓谷0年(オンライン版)
Both by mさん

【 無意味という意味 】
すこしの風を追いかけて
【 短文 】
大海にも降る一滴
2015.07.17.

For Admin

落書内検索

月毎落書

一言お報せ

リンクは勝手に頂戴、削除してます
ご迷惑な場合は、ご一報下さい



メール・チェックは非常に稀です


BlogPeople

出現するかもエリア-転記候補