想い出は君に奪われる

電線が鳴るように
一mの空を無言のツバメが鳴き過ぎると
波打際に蛇行する平行線を風が吹き
季節は秋に似た夏だった

山を想い出すように海を眺めている
いくつもの高波が押し寄せるだけでなにもない
海に似ているだけの海を眺めている

消波ブロックの向こうでは
釣り人が波に隠れたままの島を見つめている
君に似た背格好の釣り人が波に隠れ
波に隠れたままの島を見つめいて
暗い雲に似た君の影が通り過ぎた午後を想い出す

私は川面を見つめながらコーヒーの切れた缶を手に
煙草を奪われた気分で陰鬱になりながら君だけを待って
通り過ぎるのは君に似た暗い雲の影だけだった
あるいは暗い雲に似た君の影だけだった

そのときも電線が鳴っていたが
空は潰れて川面に沈もうとしていたし
ツバメは川に溺れて固い物体に変わって
鳴こうとしたまま口を開いていた

決して想い出せない風だけが吹こうとしていたが
決して私が吹かれることなく
季節は冬に似た春だった気がする
君を忘れるために訪れたような
そんな季節でしかなかった気がする
2014-09-30 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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