ある個人的風景

なぜ、その海は夜でもないのに
まして昼ですらないのに
真っ暗な空が広がっているのだろう

激しい波濤は凍ったように
崩れる直前で止まったまま
空を目指して夢破れたように
<それでも>耐え続けているようにも見える

はたして、そこで私は、どこにいるのか
その(白昼)夢のような幻想のなか
誰もいなければ、視点もどこにも動かない
ただ真っ暗な空と凍ったままの波濤

辛うじて海であろうと分かるだけの海は
実は深さのない海
崩れる一瞬前の波濤だけから推定されるだけの海

うっすらと見えるのは砂浜か
人影どころか物影すらなく
ただ雪のように真白く、限りない薄い白さで
しかし光ることはなく

いく度も浮かぶ幻想(?)は
いつでも不変のままで何のイメージにすら繋がらない
あらゆる連帯が断たれ、紐帯を喪ったまま
私の真っ暗な空と崩れる直前の波濤は
私に何を語りかけているのだろう

誰か一人でも、そこに立てば
ああ、きっとすべてが壊れてしまう
その確定的な予感だけで
景色でない景色が保たれている

波頭の白い稜線には死の予感が満ちている
しかし波濤は屈することがない
時折、揺らめく真っ暗な夜空は
私のすべてを押し潰すようで
しかし波濤が、むしろ崩れるよりも
押しかかる空を空に押し返しているのだ

なぜ、その海なのか
なぜ、その空なのか

私の一つの原風景とでもいうのだろうか
その孤独すら存在しない
哀しみからも寂しさからも無限に遠い
乾いた風景は

語る言葉の一つも持たず
あらゆる解釈すら拒絶し、ただ、この今も
激しい断絶だけを訴えかけるように
私の心から去ることがなく
あらゆる別離からさえ断絶を意志している

そう、あらゆる断絶に対する意志
その強固さだけが、今
私が感じ得るすべてで、すべてで<しか>ない-
2014-10-03 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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