未来/過去を降る雨

なおも忘れられない雨が降り
無数の雨音に濡れながら
とっくに過ぎようとしている夜を迎えている
雨と雨との間にだけ眠りは訪れ-

決して哀しみが街を覆っているわけではないが
そこが街角なら、この雨にも傘が揺れて光っているし
跳ねる雨粒はガラスの反射さえ華やいだものに変え
ワイパーの作る一瞬の川さえもが
精製された完全な生物のように生き生きと流れている

幾度、雨に打たれたら雨が忘れられるのだろうか
降っても気づかれずに<ただ通り過ぎるもの>に変わるのだろうか
靄に似た目覚めのうちにあって
さらに哀しみから遠ざかろうとする薄弱な意志が
覚えているはずの雨を探して記憶を辿ろうと試みたりもする
(それは誰かの記憶でしかないのだけれど)

むしろ逃げようとしているのは雨の方で
懲りずに追いかけているだけなのかもしれない
なにを打っているかも分からぬ雨音/雨が
きっと哀しげな抒情を引き受けてくれているので
探すほどに記憶は曖昧になってゆき
愛したはずの人さえ忘れてしまう一瞬を-
雨粒が落下する、跳ねる、沈む、馴染む、流れてゆく……
どこへ?
記憶の裡なのか?
その未だ知られぬ奥深くへ、か(?)

ああ、あるいは浄化されゆく(可能性に賭ける)記憶の変性
幼児期に似た甘い香りに包まれゆこうとする無数の生ける傷痕たち
雨が降る、雨が降る、雨が降っている……
幾度でも繰り返し、繰り返しの雨が降っている
忘れてもらえない哀しみに満ちて、雨は
繰り返し繰り返し、忘れられることなく降り続け|てい|る
2014-10-04 00:00 : 試詩的終宴 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

拝啓




Author mak From "空白"

想一葉、兼訪問帳

星々の冷却(書肆侃侃房)
渓谷0年(オンライン版)
Both by mさん

【 無意味という意味 】
すこしの風を追いかけて
【 短文 】
大海にも降る一滴
2015.07.17.

For Admin

落書内検索

月毎落書

一言お報せ

リンクは勝手に頂戴、削除してます
ご迷惑な場合は、ご一報下さい



メール・チェックは非常に稀です


BlogPeople

出現するかもエリア-転記候補